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研究

世界初、AIがリアルタイムで支援する脳腫瘍摘出手術が成功

公開 拡散指数 34

ロンドン大学病院は、世界初となるリアルタイムAI支援下での脳腫瘍摘出手術に成功した。UCLとGoogleなどが開発したAIが内視鏡の映像を解析し、隠れた血管や視神経の位置を特定して医師をナビゲートした。現在、チームはより大規模な治験を準備している。

世界初、AIがリアルタイムで支援する脳腫瘍摘出手術が成功
画像:bbc.com

人間の脳内には道路標識がありません。1ミリの狂いが視力の喪失や致命的な出血につながる過酷な現場で、AIが執刀医の「もう一つの目」として機能し始めました。

英国ベッドフォードシャー在住の48歳、Rhys Hibbertさんが、リアルタイムのAI支援を受けながら脳腫瘍の摘出手術を受けた世界初の患者となりました。手術を担当したユニバーシティ・カレッジ・ロンドン病院(UCLH)のチームは、視神経を圧迫していた11ミリの下垂体腫瘍の切除に成功しました。

術後8週間が経過した現在、Hibbertさんの周辺視野は大幅に回復し、術前のめまいや倦怠感も消えたといいます。

鼻から内視鏡を入れる難手術

下垂体は頭蓋骨の底部にあるビー玉ほどの小さな器官ですが、周囲には脳へ血液を送る内頸動脈や視神経が密集しています。手術は開頭せず、鼻腔から細い内視鏡を差し込んで行われます。

骨や硬い膜の奥に病巣が隠れている上、解剖学的構造には個人差が大きいため、通常この手術では腫瘍を完全に取り切れない確率が25〜50%、主要血管を傷つけるリスクが0.5〜2%存在します。

英国の標準的な神経外科医がこの手術を手がけるのは年に10回から20回程度で、これまでは術前に撮影した静止画スキャンを頭の中で立体的に組み立てて挑むのが一般的でした。

リアルタイムで血管の位置を予測

今回投入されたAIは、ロンドン大学(UCL)の研究チームが英国立健康研究所(NIHR)やGoogleの資金援助を受けて開発したものです。

手術室のサブモニターに表示されたAIは、内視鏡カメラの映像をリアルタイムで解析し、器具の動きを追跡しながら、組織の裏に隠れている血管や神経の予測位置、そして安全に切除できる領域をハイライト表示しました。

執刀したHani Marcus教授は、この仕組みをスマートフォンの顔認識技術に例えています。何百件もの手術映像でトレーニングされたこのモデルは、一人の外科医が生涯で経験する以上の症例をすでに学習しているといいます。

チームは、AIはあくまで助言役にすぎず、最終的な判断と操作の主導権は完全に執刀医にある点を強調しています。

なぜ重要か

患者にとっての恩恵は明快です。血管損傷という致命的な事故のリスクを抑えつつ、腫瘍の取り残しを減らすことで、再手術の可能性を下げることができます。

今回のUCLのアプローチは極めて現実的だと私たちは考えます。大がかりな手術支援ロボットを新設するのではなく、すでにある内視鏡の映像信号を拾ってモニターに重ねるだけの軽量な仕組みに抑えたことで、導入コストが格段に低く、一般の病院へ普及しやすい設計になっています。

これまでの医療AIは静止画の診断支援が中心でしたが、執刀現場でのリアルタイム追跡に踏み込んだことは、外科医療におけるAI活用の大きな前進です。

一方で懸念も残ります。AIが提示しているのはあくまで過去のデータに基づいた確率的な予測であり、極端な奇形や特異な血管走行に対して誤ったハイライトを出してしまうリスクはゼロではありません。また、将来的に若い医師がAIのガイドに依存しすぎた場合、自身の触覚や解剖学的直感をどう養うのかという課題にも直面することになりそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    bbc.com(新しいタブで開きます)原文bbc.com

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