ElevenLabsがv3向け「Audio Tags」公開、タグ指定でAI音声の間やテンポを制御可能に
ElevenLabsはEleven v3向けに「Audio Tags」機能を提供開始した。台本内に[pause]や[rushed]、[stammers]といったタグを書き込むだけで、AI音声のテンポや間、強調を精密に演出できる。なお、現段階ではプロ向け音声クローン(PVC)への最適化は未完了となっている。

同じ「大丈夫」という言葉でも、平坦に言い放つのと、息を呑んで少し間を置いてから呟くのとでは、伝わる意味がまったく変わってきます。
これまでのAI音声は滑らかに音読することは得意でしたが、こうした生々しい演技のニュアンスをつけるのは至難の業でした。ElevenLabsは、開発中のモデルEleven v3向けにAudio Tagsと呼ばれる音声タグ機能を発表しました。
脚本にト書きを書き込むように、テキストの中に特定のタグを直接差し込むことで、AIの声のテンポや間合い、強弱を思い通りに演出できる仕組みです。
スクリプトをスコアに変える新機能
用意されたタグは、人間が普段の会話で無意識に使っている細かなリズムの変化を網羅しています。
間の取り方や息遣いであれば、pauseやbreathes、continues after a beatといったタグを置くだけで調整できます。緊迫感を出すためにrushedやrapid-fireで早口にしたり、逆にサスペンス感を出すためにslows downやdeliberateで意図的に引き延ばしたりすることも可能です。
さらに、言いよどみを再現するstammersや、語尾を伸ばすdrawn out、生唾を飲み込むgulpsといった身体的なリアクションまでカバーされています。
これらのタグは重ねて使うこともできます。文頭にhesitantとnervousを並べ、途中でつっかえさせてから後半を小声で急がせるような、立体的なセリフ回しがテキストだけで作れます。
ただし、現在はリサーチプレビュー段階であり、注意点もあります。高度なプロフェッショナルボイスクローンはEleven v3への最適化が完了しておらず、過去のモデルより品質が落ちる場合があるとのことです。タグを試す際は、インスタントボイスクローンや用意されたデザイン音声を使うことが推奨されています。
なぜ重要か
私たちは、このアップデートがAI音声をただの朗読ツールから演技ツールへと押し上げる重要な転換点だと考えています。
ポッドキャスト制作者やゲーム開発者、動画クリエイターにとって、これまでの最大の壁は音質ではなくタイミングのコントロールでした。狙った間合いやオチのニュアンスを出すために何十回もガチャのように再生成を繰り返したり、波形編集ソフトで手動で切り貼りしたりしていた手間が、テキスト上で一気に解消されます。
業界全体を見ても、音声合成の競争軸が声色そのもののリアルさから、演出をいかに細部まで制御できるかというディレクション能力に移りつつあることを示しています。
一方で、長文の台本に手作業で細かくタグを打ち込んでいくのはそれなりに骨の折れる作業です。今後は大規模言語モデルが前後の文脈を理解してこれらの演技タグを自動で埋め込めるようになるかどうかが、真の実用化に向けた鍵になりそうです。
情報源 (1)
- elevenlabs.io(新しいタブで開きます)原文elevenlabs.io