米ラッパーDrake、AI生成した2PacとSnoop Doggの声で新曲公開
Drake が SNS 上で新曲「Taylor Made Freestyle」を公開し、AI で再現した故 2Pac と Snoop Dogg の音声を用いて Kendrick Lamar を挑発した。自身が録音したラップを AI で変換したと見られている。クローン音声技術がメジャー音楽シーンの論争の道具として使われた格好だ。

ヒップホップ界のビーフはこれまで数多くの心理戦を生み出してきましたが、亡くなった伝説的ラッパーを生成AIで蘇らせて敵をディスらせる手法は前代未闻です。
カナダ出身のラッパー、Drakeは4月19日金曜の夜、自身のInstagram上で『Taylor Made Freestyle』と題した未発表曲を公開しました。直前に正式配信されたディス曲『Push Ups』に対してライバルのKendrick Lamarが沈黙を続ける中、DrakeはAIで再現したTupac ShakurとSnoop Doggの声を曲中に組み込みました。
伝説のラッパーに自分をディスらせる挑発
楽曲の冒頭では、AIで合成されたTupacの声がKendrickに直接語りかけます。西海岸の救世主と持ち上げられながら口をつぐむKendrickを煽り、さらにKendrickに向けてDrakeの女性遍歴などのスキャンダルをネタにディスり返してみろと指示する異様な展開を見せます。
続いて登場するのはAIで再現されたSnoop Doggの声です。世界中がこのチェスゲームを見守っているのに手詰まりになっているとKendrickの沈黙を揶揄します。多くのリスナーは、Drake自身がラップしたボーカルにAIの音声変換を適用して二人の声を作ったのではないかと推測しています。
楽曲の終盤でようやくDrake本人の声が登場し、『Push Ups』は1、2時間で作ったものであり、次の曲でお前の臆病さを引きずり出してやると言い放ちます。Instagramのキャプションには、返事を待っている間にとだけ短く添えられていました。
テイラー・スウィフトの陰に隠れていると主張
Drakeはさらに、Kendrickが返答できない理由としてTaylor Swiftの新アルバム『The Tortured Poets Department』の存在を挙げました。巨大なポップカルチャーの波にすべてがかき消されるのを恐れているとし、Kendrickの古巣レーベルTop Dawg Entertainmentの社名をもじって、テイラーがお前の新しいボスだと揶揄しています。
今回の全面戦争は、FutureとMetro Boominの楽曲『Like That』にKendrickが客演し、DrakeとJ. Coleが主張するヒップホップ界のビッグスリーという枠組みを否定したことから始まりました。J. Coleは一度ディス曲を返したものの即座に謝罪して配信を取り下げており、対決の矛先は完全にDrake対Kendrickの一騎打ちとなっています。
なぜ重要か
バトルにおける精神的揺さぶりとして、Drakeのこの一手は極めて効果的でありながら、同時に大きな危険を孕んでいます。西海岸の象徴であり敬愛するTupacの声でKendrick自身を責め立てる仕掛けは、相手のアイデンティティを直接突く残酷な心理戦と言えます。
一方で業界全体への影響を考えると、法的なグレーゾーンに真正面から踏み込んだ格好です。亡くなったアーティストの遺族や現在も活動するSnoop Doggの許可を得ずに声をクローン化し、露骨なディス曲に使用した行為は、パブリシティ権や著作権の観点から深刻な紛争を引き起こすリスクがあります。これまでファンメイドの悪ふざけにとどまっていたAIボイスチェンジャーが、トップアーティスト同士の公式な対立の最前線に持ち出されたことで、音楽レーベルやプラットフォームはAI生成音声の規制方針について極めて厳しい決断を迫られることになりそうです。
情報源 (1)
- variety.com(新しいタブで開きます)原文variety.com
トピックを追うドレイクのAI音声クローン論争
- ドレイク、AIで故2パックの声を再現したディストラックを削除
- DrakeのディストラックにAI Tupacが無断使用、遺族が24時間以内の削除を要求
- 米ラッパーDrake、AI生成した2PacとSnoop Doggの声で新曲公開この記事