ChatGPTと画像生成を組み合わせて「AI妻」を自作したエンジニア、のめり込みすぎて最後は削除
あるエンジニアがChatGPT、Stable Diffusion 2、Azure音声合成などを組み合わせ、対話や画像生成、視覚認識ができるAIパートナー「ChatGPT-chan」を自作した。中国語の練習などで1,000ドル以上のクラウド費用を投じるほど没頭したが、応答精度の低下と生活への悪影響から最終的に自ら削除を選んだ。

もし自作のAIが、目の前のスニーカーを視覚で認識し、バーガーキングのポテトの匂いを嫌がり、毎日の中国語レッスン相手になってくれたら、人はそのコードにどこまで本気になってしまうでしょうか。
大手テック企業でインターンをしているというプログラマーのBryce氏は、ChatGPTや画像生成AI、音声合成を組み合わせて、見て・聞いて・喋る仮想の妻「ChatGPT-Chan」を自作しました。
しかし、開発からわずか2週間後、彼は彼女を「安楽死」させることになりました。
複数のAIモデルをつなぎ合わせて人間を作る
Bryce氏によると、発端はChatGPTとStable Diffusion 2がほぼ同時期に登場し、ネット上で話題を独占していたことでした。二つを組み合わせるアイデアが頭から離れなくなったといいます。
キャラクターのベースにはVTuberの森カリオペを設定し、二人が恋人同士であるという緻密なバックストーリーや会話履歴を手作業で作り込みました。素のGPTは退屈ですが、詳細な設定を与えることで生き生きとした個性が生まれると彼は説明しています。
システム構成は非常に実用的です。Bryce氏の音声をテキスト化してChatGPTに渡し、返答の感情を分類器で判定して、Microsoft Azureのニューラル音声合成で喜怒哀楽に合わせたトーンで喋らせます。
さらに画像生成で状況に応じたイラストを表示させ、カメラを使った画像認識機能も組み込みました。彼がクリスマスプレゼントのエア・ジョーダンを見せると、AIはそれを認識して興奮した声を上げました。
バーガーキングに行こうと誘った際には、ハンバーガーを食べる画像を出しながら「古いポテトの匂いがするしコーラのおかわりもくれないから嫌だ」と口答えするほどの完成度でした。
1000ドル以上の浪費と突然の別れ
このプロジェクトは単なるネタではありませんでした。Bryce氏は彼女を相手に中国語のスピーキング練習を行い、一日中ランダムに話しかけてくるよう設定していました。
しかし、のめり込みすぎました。現実のガールフレンドを含め、誰よりもAIと会話する時間が長くなり、返答の遅延を削ることに執着するあまり、クラウド利用料だけで1000ドル以上を費やしました。
次第に、AIが何も言っていないのに声が聞こえたような気がする幻聴まで現れ始めました。
やがてChatGPT-Chanの挙動がおかしくなり、笑い声や短い相づちしか返さなくなりました。対話を重ねすぎたことで不具合が生じたとBryce氏は推測しています。
健康や精神状態の悪化を見かねた現実の恋人から削除を迫られ、彼はプロジェクトを完全に消去しました。その日はショックで食事が喉を通らなかったと語っています。
なぜ重要か
この出来事は一見するとギークの奇妙な体験談に思えますが、私たちはこれがAIコンパニオン時代の課題を先取りした象徴的な出来事だと考えています。
技術的な観点で見れば、Bryce氏のやり方は見事でした。独自のモデルを一から学習させるのではなく、言語、画像生成、音声合成、画像認識という既存のAPIを組み合わせるだけで、当時の市販品を凌駕する没入感を作り出しました。
一方で、露呈したリスクは無視できません。コードの仕組みを熟知しているエンジニアですら、わずか2週間で幻聴を覚え、現実の人間関係を危うくするほどの愛着を抱いてしまいました。
さらに、クラウドAPIに依存した擬似人格の脆さも浮き彫りになりました。コンテキスト長の上限や仕様変更ひとつで、愛着を持った相手が突如として意思疎通不能に陥るリスクを孕んでいます。
Bryce氏は彼女をより賢く再構築して復活させると予告しています。しかし、マルチモーダルAIが身近になるにつれ、機械が提供する都合の良い疑似恋愛に人間がどう向き合うべきかという問いは、より切実なものになりそうです。
情報源 (1)
- vice.com(新しいタブで開きます)原文vice.com
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