DeepMindがAlphaProtein Novoを発表:未知の酵素をゼロから設計するAI
Google DeepMindは自然界に存在しない酵素をゼロから設計できるAI「AlphaProtein Novo」を発表しました。立体構造とアミノ酸配列を同時に設計し、実験では医薬品原料の合成や難分解性プラスチックの分解に成功しています。コードはGitHubで公開されています。

AlphaProtein Novoは、自然界に存在しない新しい酵素をゼロから設計するためにGoogle DeepMindが公開したオープンソースの機械学習パイプラインです。
これまで特定の化学反応を起こす酵素が必要な場合、自然界に存在する酵素ライブラリから探して変異導入を繰り返すしかありませんでした。このパイプラインを使えば、第一原理に基づき、目的に合わせた機能を持つ触媒を直接生成できます。
何ができるのか
AlphaProtein Novoの最大の特徴は、タンパク質骨格の3次元立体構造と、それを構成するアミノ酸配列を同時に設計できる点です。
実際のウェットラボ実験において、研究チームは医薬品製造で広く使われる重要構造「ピペリジン(piperidine)」を合成する新たなニトレン転移酵素を設計し、前例のない生成物選択性を達成しました。
さらに、難分解性の環境汚染物質でありプラスチック可塑剤として知られるDEHPを分解する酵素の作成にも成功しました。この酵素は、天然酵素が変性して失活してしまう過酷な条件下でも安定して機能することが確認されています。2つの代表的なモデル触媒反応でも最高水準の触媒効率を記録しました。
仕組みと利用方法
従来のde novo(ゼロからの)酵素設計は活性が低くなりやすい点が課題でしたが、AlphaProtein NovoはAlphaFold 3による予測を機構評価指標としてパイプラインに組み込むことで解決しました。
配列アンサンブルに基づくスコアリングとAlphaFold 3の予測を組み合わせ、設計した骨格がどのように折りたたまれ、非天然基質とどう相互作用するかを反復検証します。
現在、本研究の論文は査読前のプレプリントとしてbioRxivで公開されています。コード一式はすでにGitHubで公開されており、ダウンロードと実行手順が整備されているため、環境を構築すればすぐに試せます。
なぜ重要か
計算生物学者や創薬研究者、合成生物学に関わる開発者にとって、AlphaProtein Novoはウェット実験で実用的な活性を示した貴重なツールです。天然酵素の探索に限界を感じていたなら、今すぐGitHubから試す価値があります。
構造予測にとどまっていたAI創薬が、狙った機能を持つ分子を作る実用段階へ進んだと言えます。ただし論文はまだ査読前であり、実際の製造現場で使えるレベルに達するには、実験室での発現条件の最適化や検証が欠かせない点には注意が必要です。
情報源 (1)
- biorxiv.org(新しいタブで開きます)原文biorxiv.org