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研究

NASA探査車がClaudeの道案内で火星を走行、初のAI経路計画

公開 拡散指数 38

AnthropicはNASAジェット推進研究所(JPL)が火星探査車「パーサヴィアランス」の約400メートルの走行経路作成にClaudeを活用したと発表した。地形画像を分析して専用言語で指令を出力。JPLは経路計画の作業時間を半減できると見込む。

NASA探査車がClaudeの道案内で火星を走行、初のAI経路計画
画像:anthropic.com

地球から火星へ信号を送るには、片道で約20分かかります。コントローラーを握ってリアルタイムに運転することなど到底できず、もしタイヤが砂地に足を取られれば、数十億円規模の探査機が二度と動かなくなるリスクと隣り合わせです。

これまで、火星表面の進行ルートを決める作業はすべて人間の専門家が担ってきました。しかし2025年12月、NASAの探査機「パーサヴィアランス」に送られた走行計画を作成したのは、AnthropicのAIモデル「Claude」でした。

火星専用言語でコードを書くAI

実施されたのは2025年12月8日と10日(火星日第1707ソルおよび1709ソル)のことです。NASAのジェット推進研究所(JPL)のエンジニアは、Claudeを活用して岩石地帯を抜ける約400メートルの走行ルートを策定しました。

パーサヴィアランスには目の前の障害物を避ける「AutoNav」機能が搭載されていますが、長距離の全体ルートを見渡して計画することはできません。これまでは人間が上空からの軌道画像を見ながら、1地点ずつ中継点を置いていました。

JPLはこれまでの火星探査で蓄積された走行ノウハウとコンテキストをClaude Codeに投入しました。Claudeは画像認識機能で衛星写真を分析し、ルートを10メートルごとの区間に分割しながら中継点を設定しました。

さらにClaudeは、火星探査用に開発されたXMLベースの独自言語「Rover Markup Language」で直接制御コマンドを出力しました。自身の出力内容を検証し、修正案を自ら提示しながら計画を洗練させたといいます。

50万以上の変数を検証するシミュレーション

AIが生成したコードをそのまま火星に送るわけにはいきません。JPLは日々の運用で使っているシミュレーターにClaudeの計画を投入し、50万以上の変数を用いて探査機のスリップや傾斜、危険個所を予測しました。

人間のオペレーターが検証した結果、修正はわずかな手直しで済みました。地上カメラの画像にしか映らない細かな砂の波の形状を考慮し、人間側が狭い通路のルートを少し細かく調整した程度で、基本ルートはそのまま採用されました。

深空ネットワーク経由でデータが送信され、パーサヴィアランスは計画通り400メートルの走行を成功させました。JPLは、この手法によりルート策定にかかる時間を半減できると試算しています。

なぜ重要か

ルート計画の作業時間が半分になれば、オペレーターの負担が減るだけでなく、火星での走行回数を増やし、より多くの科学データを地球へ持ち帰ることが可能になります。

今回の取り組みが巧みなのは、AIに無制限の権限を与えるのではなく、Claude Codeを用いて専門言語を出力させ、50万変数の高精度シミュレーションと人間のレビューで二重三重の安全網を敷いた点にあります。高度な空間推論を活用しながら、現実的な運用基準をクリアしています。

一方で課題も浮き彫りになりました。上空からの衛星画像だけでは判断できない微細な地形変化があり、地上カメラの視覚情報と統合できなければ完全な自動化は困難です。

それでも、普段私たちが文章作成やプログラミング補助に使っている汎用フロンティアモデルが、他天体の探査ミッションで実用に耐えた意味は小さくありません。今後のアルテミス計画や、通信のタイムラグが数時間に及ぶ外惑星探査に向けて、自律的に判断してコードを書くAIの導入が現実味を帯びてきました。

情報源 (1)

  1. [1]
    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com

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