本文へスキップ
IFAI

AIツール

Clairityの乳がん予測AIが米FDA認可:マンモ画像だけで5年以内リスクを判定

公開 拡散指数 47

米Clairityの「CLAIRITY BREAST」がFDAのDe Novo認可を取得した。通常のマンモグラフィ画像から肉眼では見えない微細な組織パターンを解析し、今後5年間の乳がん発症リスクを予測する。家族歴のない患者のスクリーニング精度向上に期待が寄せられており、2025年中に医療機関へ導入される予定だ。

Clairityの乳がん予測AIが米FDA認可:マンモ画像だけで5年以内リスクを判定
画像:fiercebiotech.com

定期検診で乳房 X 線撮影(マンモグラフィ)を受けても、画像からわかるのは基本的に「今この瞬間に腫瘍があるかどうか」だけでした。異常が見当たらなければ「問題なし」と診断されるのが常です。

ボストンの医療 AI スタートアップである Clairity は、日常のスクリーニングマンモグラフィ画像のみから将来 5 年間の乳がん発症リスクを予測する AI プラットフォーム「CLAIRITY BREAST」(承認名:Allix5)について、米食品医薬品局(FDA)から De Novo(新規機器)承認を取得しました。画像単体に基づいて将来のリスクを予測する AI ツールとしては初の承認事例となります。

肉眼では見えない組織パターンを解析

乳がんリスクというと遺伝歴が注目されがちですが、実際には世界で年間 230 万人以上、米国だけでも年間 37 万人以上が新たに診断される中、患者の 85% には家族歴がありません。さらに全体の約半数は、既知の危険因子を一切持たないとされています。

従来の評価モデルは年齢や家族歴などの問診項目に頼っており、そのデータの多くが欧州系白人女性を対象に構築されていたため、多様な人種の女性に対する予測精度には課題がありました。

Clairity 創業者のコニー・レーマン医師(Mass General Brigham の乳腺画像専門医)によると、マンモグラフィは 60 年以上にわたり早期がんの検出に使われてきましたが、画像認識 AI を活用することで、人間の目には正常に見える組織の微細なテクスチャから将来の発症シグナルを捉えることが可能になったといいます。

本モデルは数百万枚の画像で学習され、病院や独立系検査施設を含む全米 5 か所の施設から集められた 7 万 7000 件以上のマンモグラフィ検査データで検証されました。いずれも 5 年後の転帰データと突き合わされており、同社は 2025 年にかけて主要な医療システムへの展開を進める予定です。

なぜ重要か

この承認は、画像診断 AI が「見えている病変の発見」から「将来のリスク予測に基づく個別化予防」へ軸足を移す重要な転換点になると私たちは考えます。

受検者にとっての価値は明快です。追加の採血や高額な遺伝子検査を受けることなく、普段の定期マンモグラフィの撮影データのまま 5 年後のリスクスコアが得られます。もしリスクが高いと判定されれば、病変が大きくなる前に MRI などの追加検査へスムーズに移行でき、早期発見の確率を大きく高められます。

医療業界にとっても、630 億ドル規模とされる乳がん予測市場において、De Novo 承認という確固たる規制上の先例ができた意味は小さくありません。既存のマンモグラフィ読影フローを崩さずに組み込める点も実用性が高いといえます。

ただし、画像上は「異常なし」と出ている受検者に対して高リスク判定が出た場合、臨床現場がどうフォローアップすべきかという運用ガイドラインの策定や、追加 MRI 検査に対する保険適用のハードルなど、普及に向けた課題は残されています。

情報源 (2)

  1. [1]
    fiercebiotech.com(新しいタブで開きます)原文fiercebiotech.com
  2. [2]

毎日のAIピックアップ