中国の裁判所、AI生成画像による「ウルトラマン」著作権侵害を認定
報道によると、広州インターネット裁判所はAIサービスが生成した画像が「ウルトラマン」に酷似しているとして著作権侵害を認め、1万元の賠償を命じた。世界初の判断とみられ、生成AIの学習データと出力に関する法的責任の議論を加速させそうだ。

AI に銀色と赤色の巨人を描かせたところ、誰が見てもウルトラマンそのものの画像が出てきた場合、誰の責任になるのでしょうか。
中国の裁判所は、AI サービス提供側の著作権侵害にあたると判断しました。21世紀経済報道によると、広州インターネット裁判所は AI 画像生成サービスが円谷プロダクションの特撮ヒーロー「ウルトラマン」の著作権を侵害したと認定しました。この種の判決としては世界初とみられます。
原告は中国国内でウルトラマンの部分的な著作権を持つ権利者で、サービス名や企業名は非公開の AI 企業を提訴していました。自社のサービスがウルトラマン酷似の画像を生成したことが発端です。
裁判所は、生成された画像がウルトラマンのキャラクターと実質的に類似していると指摘しました。これは当該キャラクターが AI の学習データとして使われたことを推認させるものとし、被告企業に対して 1 万元(約 1400 ドル)の損害賠償を命じました。
北京と広州で分かれた司法の判断
今回の判決は、中国司法界で直近に出された別の重要判断と明確なズレを見せています。
昨年 11 月、北京インターネット裁判所は AI 生成画像の著作権をユーザーに認める判決を下しました。当時の判断では、生成 AI はあくまで人間の創作活動を支援する道具にすぎないと位置づけられていました。
しかし広州の裁判所は今回、AI は単なる道具ではなく、問題となったコンテンツの生成に主体的に関与したと判断しました。法科系ブロガーの北京律師趙対対氏は、両判決の論理的矛盾は最先端 AI に対する著作権法の整理が追いついていない証拠だと指摘しています。
また中国科学院の周成雄氏は環球時報に対し、こうした判決が重なることで、法的リスクを恐れた中国企業が AI 研究開発への投資を手控える恐れがあると懸念を示しています。
なぜ重要か
私たちが注目すべきは、裁判所が学習ログなどの技術的な内部構造を精査することなく、出力結果の実質的類似性だけから学習データの利用と侵害を推認した点です。
AI サービスを開発・運用する企業にとっては、ブラックボックスだから責任を逃れられるという理屈が通用しなくなることを意味します。プロンプトによるキャラ再現を技術的に防ぐガードレールを敷かなければ、直接的な責任を負わされるリスクが現実のものとなりました。
一方で、クリエイター側にとっては法的な救済の糸口が見えた反面、賠償額が 1 万元にとどまるなど、実質的な被害補填には程遠いのが現状です。
ニューヨーク・タイムズによる OpenAI 提訴を巡って指摘されているように、現在の生成 AI はデータの追跡可能性が欠如していることが根本的な課題です。誰の作品を元に生成されたかを追跡して利益を分配する仕組みが整わない限り、同様の法的混乱は世界中で続くと考えられます。
情報源 (1)
- semafor.com(新しいタブで開きます)原文semafor.com