ChatGPT 公開から3年:週次ユーザー8億人、世界の労働と社会を再編
米メディア Rest of World は公開から3年を迎えた ChatGPT の世界的影響をまとめた記事を公開した。週次利用者数は約8億人に達し、コロンビアでは裁判官の85%が実務に活用している。一方、少数言語への対応不足から各地で独自モデル開発も加速している。

ChatGPTが公開から3周年を迎えました。
2022年11月30日の公開以来、OpenAIのチャットボットは急速に普及し、現在では週間アクティブユーザー数が約8億人に達し、20以上の言語に対応しています。米国だけでなく、インド、ブラジル、インドネシア、フィリピンなどが特に急速な成長市場となっています。
世界中で利用が広がる一方で、その影響は地域ごとに大きく異なる様相を見せています。
現場への浸透と教育現場の試行錯誤
公開直後から懸念された雇用の奪取は、2023年にはイラストレーターやWebエンジニア、翻訳者、さらに米国の学生向けに代筆を行っていたケニアのフリーランスなどに現れ始めました。
一方で、実務への組み込みも急進しています。インドネシアの映画業界では脚本執筆に利用され、マラウイの農家は自国語でチャットボットに農作業の助言を求めています。コロンビアでは、実に85%の裁判官がChatGPTやCopilotの無料版を使って業務を効率化しており、結件ペースが上がったことで弁護士側の新規提訴も増加しています。
韓国ではChatGPTを搭載した高齢者向け見守りロボット人形が導入され、会話相手や服薬通知、緊急アラートの役割を果たしています。教育面では、インドやマリで現地語学習や授業への導入が進む一方、韓国では不正確さやプライバシー侵害、教員の負担増に対する抗議を受け、導入わずか4か月でAI学習プログラムが撤回される事態も起きました。
2024年の世界的な選挙イヤーでは、多言語による有権者への働きかけに使われたほか、ガーナの大統領選では170以上の偽アカウントがChatGPTで文面を作成し世論操作を試みるなど、政治利用の影も浮き彫りになりました。
言語格差と独自モデル開発の波
ChatGPTは英語やスペイン語、日本語では高い精度を誇るものの、ベンガル語、スワヒリ語、ウルドゥー語、タイ語といった、話者は多くともネット上のデータが少ない言語では深刻な誤りや造語、文脈の破綻が目立ちます。
この課題に対し、各地で自国言語特化のLLMを開発する動きが加速しています。フィリピンの「ITanong」やチリ主導の「Latam-GPT」、ナイジェリアの政府支援モデル開発のほか、モンゴルでも独自LLMの開発が進んでいます。
公式にはサービスが提供されていない中国でも、VPNや海外番号経由の利用に加え、Qwen(通義千問)や、低コストで欧米トップ水準に迫り世界を驚かせたDeepSeekなどの国産モデルが急伸し、家電や自動車への組み込みが進んでいます。
なぜ重要か
ChatGPTの3年間は、生成AIが実験的なツールから世界の不可欠なインフラへと定着した過程そのものです。週に8億人が使う規模に達した現在、もはやAIを使わない以前の働き方に戻ることは困難と言えます。
しかし、OpenAIによる事実上の標準化には限界も見え始めています。ネット空間で情報量が少ない言語での精度の低さは、新興国におけるAI主権や文化保護の危機感を煽り、結果として地域独自の小規模モデル開発を促す引き金となりました。
今後は、シリコンバレーの巨大モデルによる一極集中ではなく、コスト効率に優れたDeepSeekのようなモデルや、地域特化型モデルが共存する多極化が進むと考えられます。利用言語やコストの壁をいかに乗り越えるかが、今後の普及の鍵を握っています。
情報源 (1)
- restofworld.org(新しいタブで開きます)原文restofworld.org