CartesiaがSonic-3.5とInk-2を発表:音声合成と文字起こしの両ストリーミング首位を獲得
Cartesiaは音声合成モデルSonic-3.5と文字起こしモデルInk-2を公開した。状態空間モデルを採用して初回応答遅延を300ミリ秒未満に抑え、Artificial Analysisの流動評価で首位を獲得。発話終了検知も備え、対話AIの不自然な沈黙を解消する。

AIの音声アシスタントと通話するとき、一番ストレスを感じるのは賢さの不足ではなく、あの独特の「間」です。こちらが話し終わってから数秒の沈黙があったり、一息ついただけなのに割り込まれたりします。
Cartesiaは2026年6月15日、音声合成モデル「Sonic-3.5」と文字起こしモデル「Ink-2」を発表しました。同社によると、このペアは第三者評価機関Artificial Analysisのストリーミングランキングにおいて、自然さと文字起こし精度の両部門で同時に首位を獲得しました。
創業者のKaran Goel氏は、リアルタイムの音声出力と音声入力の両方でストリーミング首位を同時に保持するプロバイダーは現時点でCartesiaだけだと述べています。
状態空間モデルで応答遅延を300ミリ秒未満に
多くの音声モデルが一般的なTransformer構成を採用する中、Cartesiaは状態空間モデル(State Space Model)を採用しています。この設計が大幅な低遅延化を支えています。
音声合成のSonic-3.5は、最初の音声トークンが出力されるまでの遅延中央値が300ミリ秒未満に抑えられています。人間同士の会話テンポに極めて近く、通信待ちの重さをほとんど感じさせません。旧型のSonic-3と比べて声の抑揚やリズムが自然になり、英数字のコードやIDの読み上げ精度も向上しました。対応言語は40以上とされていますが、英語優先で順次拡大中のため、他言語では事前の検証が推奨されます。
一方のInk-2は、雑音が多い環境に強いストリーミング文字起こしモデルです。最大の特長は、発話終了の判定(セマンティックエンドポイント検出)と発話交代の検出をモデル内部に組み込んでいる点です。単に無音時間を測るのではなく、文脈から発話が終わったかを判断できます。
両モデルはWebSocketおよびREST API、公開Playground経由で一般提供が始まっており、PythonやTypeScriptのSDK、さらにはPipecatやLiveKitといったエージェント用フレームワークとの連携も用意されています。
なぜ重要か
Cartesiaのアプローチは非常に合理的だと考えられます。
対話型エージェントは「聞く、考える、話す」を繰り返すループ構造です。これまでは文字起こし、推論モデル、音声合成を別々のベンダーから調達して組み合わせることが多く、そのたびにネットワークの往復遅延が発生し、発話のタイミングが狂う原因になっていました。
「耳」と「口」の両方を同じプロバイダーが担うことで、ユーザーが話し終えた瞬間に最適なタイミングで発話を始める連動が可能になります。電話対応エージェントやオンライン講師など、会話のテンポが命となるサービスを開発する現場にとっては、これ以上ない選択肢です。
音声AI市場の棲み分けも鮮明になってきました。長尺の朗読や感情表現豊かなキャラクターボイスならElevenLabsが依然として強力ですし、コストや機密性を重視して完全自社運用を目指すならNVIDIA Nemotron 3.5やHiggs Audio v3などのオープンモデルを自力でチューニングする道もあります。
Cartesiaはリアルタイム対話という一点に特化し、接続部分の面倒な課題をまとめて解決しにきています。他の音声ツール企業にとっても、単機能から統合型への移行を促す強い刺激になりそうです。
情報源 (1)
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