ByteDanceがProtenix-v1を公開:AlphaFold 3超えの完全オープン分子構造予測
ByteDanceが生体分子構造予測モデル「Protenix-v1」をオープンソース化。タンパク質や核酸、リガンドの構造予測に対応し、同等の学習データ条件下でAlphaFold 3を上回るベンチマーク性能を記録。重みだけでなく学習パイプライン全体もApache 2.0で提供される。

Protenix-v1は、ByteDanceがオープンソースとして公開した生体分子構造予測モデルです。タンパク質だけでなく、核酸や低分子リガンドが混在する複合体の立体構造を高精度に予測できます。
これまでAlphaFold 3の登場によって複合体予測の地平が広がった一方、オープンな環境で自由に再訓練や大量推論を行える環境は限られていました。Protenix-v1は、AlphaFold 3と同じデータ期間とモデル規模を維持しながら、多様なベンチマークでそれを上回る性能を示しています。
何ができるのか
Protenix-v1のベースモデルのパラメータ数は約368Mで、AlphaFold 3と同等のスケールです。タンパク質とRNAの両方でマルチプルアライメント(MSA)情報やテンプレート入力をサポートしています。
抗原抗体複合体のような難度の高いターゲットでは、推論時スケーリングが有効です。サンプリングする候補数を数個から数百個へと増やすことで、予測精度が対数線形に向上していきます。
モデルは2系統用意されています。AlphaFold 3との公平な比較用にデータ締め切りを2021年9月に揃えたベース版と、実用性能を高めるために2025年6月までのデータを学習させた応用版から選べます。
また、実験誤差や非生物学的な接触ノイズを排除した再現性評価用ツールキット「PXMeter」も同梱されています。
動かし方とライセンス
Protenix-v1のコードとモデル重みは、商用利用も可能なApache 2.0ライセンスで完全公開されています。
特筆すべきは、重み単体だけでなく、学習データの全処理パイプラインやMSA生成パイプラインまで提供されている点です。ColabFold互換のローカル検索機能も組み込まれています。
利用方法はシンプルで、PyPIからpip install --upgrade protenixでインストールできます。分子情報を記述したJSONファイルを用意し、コマンドラインからprotenix predを実行するだけで構造予測が出力されます。
なお、後に発表された464M構成のProtenix-v2は重みが非公開の独自アセットとなっているため、セルフホストして自由に使えるのはProtenix-v1となります。
なぜ重要か
AlphaFold 3クラスの生体分子予測を自社インフラで動かしたい研究室やバイオテック企業にとって、全パイプラインが揃ったオープンな基盤の登場は大きな前進です。Webサーバー経由の回数制限を気にせず、大量スクリーニングを行えます。
単にベンチマークスコアで勝ったという話にとどまらず、データ作成からMSA検索、推論までの一連の仕組みを透明にした点に価値があります。計算創薬やタンパク質設計に関わるチームなら、今すぐ手元に環境を構築して試す価値が十分にあります。
情報源 (1)
- github.com(新しいタブで開きます)原文github.com