ByteDanceがTSMCと独自のAI半導体を設計中と報道、2026年量産へ
米報道によると、TikTokを運営するByteDanceがTSMCと提携し、学習と推論向けの独自AI半導体2種を設計している。2026年の量産を予定しており、高額なNvidia製チップへの依存を減らす狙いだ。ただし設計途中で計画は確定していない。
20億ドル以上を投じて性能制限版のGPUを注文しても納品待ちが続くなら、自社製チップの開発に乗り出すのも自然な流れと言えます。
The Informationによると、TikTokを運営するByteDance(バイトダンス)が、台湾のファウンドリ大手TSMCと共同で2種類の自社製AIチップを設計しており、2026年までの量産を目指していると報じられました。
関係者によると、チップは現在設計段階にあり最終決定には至っていないものの、学習用と推論用の両方をカバーする計画で、高価なNvidia製GPUへの依存度を下げ、米国の輸出規制に対処する狙いがあります。
20億ドルの納品待ちとTSMC委託の計算
ByteDanceは既存ハードウェアの調達を諦めていたわけではありません。同社は米国の輸出規制に適合するよう性能が調整されたNvidiaの中国市場向けチップ「H20」を20万個以上発注しています。
この発注額は20億ドルを超えますが、同社は依然として納品を待っている状態だと伝えられています。自社設計チップをTSMCで製造できれば、数期にわたり数十億ドルのコスト削減につながる見込みです。
自社製チップへ動いているのは同社だけではありません。Baidu(百度)も自社AIチップ「Kunlun 3」を設計済みで、こちらも間もなくTSMCで製造が始まる予定だと報じられています。
「豆包」の急成長と計算資源の壁
このハードウェア投資の背景には、ByteDanceのAIサービスにおける急激な需要拡大があります。
昨年8月に公開されたAIチャットボット「豆包(Doubao)」は、中国国内で先行していたBaiduの「文心一言(Ernie Bot)」をダウンロード数およびiOSの月間アクティブユーザー数で追い抜きました。
さらに今年5月には企業向け「豆包」大規模言語モデル群を投入し、競合他社が最大97パーセントの値下げを余儀なくされるほどの価格競争を引き起こしています。
しかし、この自社開発路線には大きな不確定要素が残ります。米国政府は今月初めにも先端技術に関する新たな輸出規制を発表しており、ルールは毎年更新されています。中国企業がTSMCの製造ラインを利用し続けられるかどうかは、常に米国の規制基準を満たせるかにかかっています。
なぜ重要か
サービスを利用する企業や開発者にとって、推論チップの内製化が進めば、現在続いている極端なモデル利用料の安さが長期的に維持される可能性が高まります。サービス規模が拡大するほど、自社チップによる運用コスト削減の恩恵が大きくなります。
業界全体としては、中国の大手テック企業による競争の主戦場が、モデルのパラメータ数やアプリの機能争いから、サプライチェーンの安全保障へと完全に移行したことを示しています。輸出規制に合わせた制限版GPUを買い続けるだけでは、持続的な競争力を保てないという共通認識が定着しつつあります。
私たちの見解では、学習と推論の両方に一度に取り組むByteDanceの姿勢は合理的ですが、製造をTSMCに依存している点は明らかなリスクです。チップの回路設計を成功させることと、それを実際に最先端ラインで製造できることは別問題であり、米国の規制改定次第で計画が頓挫する危うさを常に抱えています。
情報源 (1)
- qz.com(新しいタブで開きます)原文qz.com