Arc開発元が新AIブラウザ「Dia」発表:要約だけでなく代理操作もこなす
Arcを手がけるThe Browser Companyは新たなAIブラウザ「Dia」を発表した。2025年初頭の提供開始を予定している。単なるタブの要約にとどまらず、アドレスバーの指示で複数タブのリンクをメールに転記したり、Amazonカートに自動で商品を追加する代理操作機能を備える。同社はArcの提供も継続するとしている。

斬新なデザインと垂直タブでパワーユーザーを魅了したブラウザ「Arc」を手がける The Browser Company が、次なる大きな一歩を踏み出しました。CEO の Josh Miller 氏は、日常的なウェブ作業を AI で効率化するためにゼロから設計した新しい AI ブラウザ「Dia」を発表しました。macOS と Windows 向けに 2025 年初頭のリリースを予定しています。
Miller 氏は 10 月の時点で AI を中核に据えた新製品の存在を予告していましたが、公開されたプレビュー動画によってその全貌が明らかになりました。公式サイトでは、AI は単一のアプリやボタンとして存在するのではなく、ウェブブラウザの上に構築されたまったく新しい環境になるというメッセージが掲げられています。
タブ同士の文脈を読み取るブラウザ
既存のブラウザの多くはサイドバーにチャット画面を追加しただけですが、Dia は開いているウィンドウ全体の内容を理解します。
動画内のデモでは、開いている複数の Amazon タブから商品リンクを抽出し、プロンプト指示ひとつでメール本文へ綺麗に挿入する様子が紹介されました。また、入力中にウェブから事実関係を自動取得して補完する機能もあり、初代 iPhone の発売時の仕様をテキスト内に即座に呼び出してみせました。
さらに日常のワークフローにも深く入り込みます。始業前にカレンダーや受信トレイ、重要リンクを整理して見せるモーニングブリーフ機能を備えるほか、Slack や Notion、Teams、Google Workspace に散らばった情報を横断検索し、文脈を把握したうえでレポートやスライド資料にまとめることも可能です。
閲覧ツールから代理実行ツールへ
Dia の野心的な特徴は、アドレスバーから直接指示を出してユーザーの代わりに作業を実行させる点です。
プレビューでは、大まかな説明文から目的のドキュメントを探し出し、指定のメールアプリで相手に送信する動作が示されました。さらに実験的なプロトタイプでは、「アイマスク」や「ジェリービーンズ」といったアイテムを自動で Amazon のカートに追加したり、動画撮影スタッフのリストに対して個別に出勤時間を記載したメールを一斉送信したりする例も提示されています。
気になるのは既存の Arc の今後です。ユーザーの間では Arc の開発が打ち切られるのではないかという懸念が広がっていますが、Miller 氏は Arc を終了する予定はないと説明しています。ただし同時に、自分の直感として世界がこの方向に進んでいるのは明白だと語り、AI 特化への舵切りが不可避であることを示唆しました。
なぜ重要か
私たちは、この路線変更を The Browser Company による現実的なピボットだと見ています。
Arc は熱心なギークに愛されたものの、独自の操作体系と学習コストの高さゆえに、Chrome や Edge のシェアを脅かすには至りませんでした。Dia は見た目の奇抜さよりも、日々の面倒な事務作業を減らすという実用性に舵を切っています。タブやツールを行き来してコピペを繰り返しているビジネスパーソンにとって、文脈を理解するブラウザは試す価値の高い道具になり得ます。
業界全体にとっても、AI エージェントの主戦場がウェブブラウザであることを再確認させる動きです。ブラウザはすでにユーザーのログイン情報や開いている画面情報を持っており、独立した AI アプリよりもはるかに自然に行動を代行できます。
しかし懸念も残ります。代理でメールを送ったり買い物をする機能はまだプロトタイプ段階であり、誤操作や誤認識が起きた際のリスクは小さくありません。また、同期データの暗号化を謳っているとはいえ、仕事の機密ツールをブラウザの AI に読み取らせることへの心理的ハードルは依然として高いと言えます。2025 年初頭の実物がどこまで実用性に耐えうるかが問われます。
情報源 (2)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
- diabrowser.com(新しいタブで開きます)報道diabrowser.com