Apple、Apple Watch Ultra 3発表:衛星通信とAIワークアウト機能搭載
AppleはApple Watch Ultra 3を発表した。双方向衛星通信への対応や最大42時間のバッテリー駆動に加え、機械学習を活用した高血圧の兆候検知を導入。さらにwatchOS 26では、Apple Intelligenceを活用して心拍数やペースに応じた音声フィードバックを送る「Workout Buddy」を搭載する。なお、AIコーチ機能は当面英語のみで、対応iPhoneの連携が必要となる。

山深いトレイルを走っている最中にスマートフォンを落としたりバッテリーが切れたりすると、外界との連絡手段は一瞬で断たれます。
Appleは9月9日、過酷な環境での使用を想定したフラッグシップモデル「Apple Watch Ultra 3」を発表しました。最大のトピックは、iPhoneなしで単独通信できる衛星通信機能の搭載です。即日予約が始まっており、9月19日に発売されます。
手首のデバイスが直接衛星を捉える
これまでAppleの衛星経由SOSはiPhone側の機能でしたが、Ultra 3では時計本体だけで衛星通信が可能になりました。
圏外のアウトドア環境でも、救急サービスへの緊急通報メッセージ送信、家族や友人へのテキスト送信、さらに「探す」機能を使った15分ごとの位置情報共有が手首だけで完結します。過去30日以内にやり取りした相手なら暗号化されたメッセージを送受信可能です。衛星機能は購入から2年間無料で提供されます。
手首サイズの端末に衛星通信を組み込むため、Appleは無線モジュールを刷新し、アンテナの信号強度を2倍に高めました。時速約2万4000キロで高度約1300キロを周回する衛星を捉えられます。さらに激しい転倒や衝突を検知してユーザーの反応がない場合、圏外でも空が開けていれば自動で救助要請を試みます。
通常の通信面でも新たに5Gセルラーに対応し、電波が弱い場所ではアルゴリズムが2基のアンテナを同時駆動して受信感度を高めます。
ベゼルを24%削り、常時表示は秒針が動く1Hzへ
ケースサイズはそのままに、LTPO3と広視野角OLEDを採用したことで、画面の縁(ベゼル)は24%細くなりました。斜めからの視認性も向上しています。
さらにLTPO3の省電力性により、常時表示時のリフレッシュレートが従来の毎分1回から「毎秒1回(1Hz)」に進化しました。腕を上げなくても時計の秒針が滑らかに刻まれる様子を確認できます。
通常使用のバッテリー駆動時間は最大42時間に伸び、低電力モードなら最大72時間動作します。GPSと心拍計測を常時稼働させたワークアウトでも、低電力モードなら最大20時間の連続記録が可能です。また15分の急速充電で最大12時間分を補えます。
ヘルスケアでは「高血圧の兆候の通知」が新設されました。光学式心拍センサーが捉える血流の拍動応答を30日単位で解析し、慢性的な高血圧の兆候をバックグラウンドで監視します。10万人以上のデータで学習し、2000人超の臨床試験で検証された機能で、初年度に100万人以上の潜在的な未受診者を見つけ出す見込みです。この機能はwatchOS 26を通じてSeries 9以降やUltra 2にも提供されます。
なぜ重要か
トレイルランナーや登山者にとって、スマートフォンを持たずに手首だけで衛星救助を呼べる安心感は圧倒的です。怪我や滑落でスマートフォンを取り出せない事態でも、身につけた時計から位置情報とSOSを発信できるのは生死を分ける差になります。
一方で街中中心で使う一般ユーザーにとっては、デザインの大枠が変わっていないため、Ultra 2からの乗り換えを急ぐ必要性は薄いと言えます。高血圧通知もwatchOS 26のアップデートで旧世代に降りてくるため、日常用途での買い替え動機は限定的です。
業界全体で見れば、AppleはGarminが牙城としてきた本格アウトドアGPSウォッチの領域へさらに深く踏み込みました。Garminは外部の衛星コミュニケーター(inReach)や超ロングバッテリーを強みにしてきましたが、Appleは一般的なスマートウォッチの快適性を維持したまま衛星機能を内蔵してきました。
アンテナの小型化と省電力化を一気にやり切った設計力は見事だと評価できます。しかし、2年間の無料期間終了後のサブスクリプション料金体系が不透明な点や、本格的な数日間の縦走登山では依然としてモバイルバッテリーが手放せない持続時間は、依然として残る課題です。
情報源 (1)
- apple.com(新しいタブで開きます)原文apple.com