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Anthropicが研究者向けAI環境「Claude Science」を発表、60種超のツールを統合

公開 拡散指数 64

Anthropicは研究者向けAIワークベンチ「Claude Science」のベータ版を公開した。macOSとLinuxに対応し、生命科学分野など60種以上のツール連携に加え、計算や引用を自動検証するレビュアー機能も搭載。有料プラン向けに提供される。

Anthropicが研究者向けAI環境「Claude Science」を発表、60種超のツールを統合
画像:statnews.com

バイオインフォマティクスや創薬分野の研究者は、日々の大半を研究そのものではなく、データベース間のデータ移行やスクリプトの調整、HPCクラスタのジョブ待ちといった雑務に費やしています。

Anthropicは、研究者向けの統合AIワークベンチ「Claude Science」を発表し、macOSおよびLinux向けのベータ版としてClaude Pro、Max、Team、Enterpriseユーザーへの提供を開始しました。これは生物学専用の新しい基盤モデルではなく、汎用モデル(Claude Opus 4.8を含む)を活用しながら、断片化した科学研究ツールを1つの環境に束ねる特化型プロダクトです。

STATの報道によると、同社ライフサイエンス部門責任者のEric Kauderer-Abrams氏は発表イベントで、ツールの実効性を自ら検証するため、Anthropic自身も創薬開発に取り組む方針を明らかにしました。

60種以上のスキルとNVIDIAアクセラレーションを統合

Claude Scienceでは、総合調整エージェントが研究者の指示を受け、ゲノミクス、プロテオミクス、単細胞解析、ケモインフォマティクスなど60以上の事前設定されたスキルやコネクタを自動で呼び出します。

特筆すべきは、NVIDIAの「BioNeMo Agent Toolkit」との連携です。Evo 2、Boltz-2、OpenFold3などのモデルやアクセラレーションライブラリを自然言語からシームレスに利用できます。NVIDIAのデータによれば、RAPIDS-singlecellにより130万細胞の前処理クラスタリングが52分から25秒に短縮され、nvMolKitによる立体配座生成などは最大3000倍高速化されます。

計算資源の管理も任せられます。ローカルPC、SSH経由の研究室自前HPC、Modalのアカウントなどと接続し、1基から数百基のGPUまでオンデマンドでスケール可能です。ジョブ実行前に計画を提示して承認を求める仕組みで、機密データは研究室のインフラ外に出ず、必要なコンテキストのみがClaudeに送信されます。

出力と引用をダブルチェックする批評エージェント

AIを学術執筆に使う際の最大の懸念は、もっともらしい嘘の引用や計算ミスです。Claude Scienceは「アクター・クリティック(生成と批評)」のペア構造を採用しており、独立したレビュアーエージェントが引用の正確性や計算、コードと図の整合性を自動で検証・修正します。

生成された3Dタンパク質構造や化学構造などの図表には、生成に使われたコード、実行環境、会話履歴がすべて記録され、高い再現性を担保します。「グリッド線を消す」「対数軸にする」と自然言語で指示するだけで、エージェントが自らコードを書き換えて図を更新します。

アレン研究所のJérôme Lecoq氏は、約20のカスタムスキルを構築して数千本の論文から要点を抽出する自動総説執筆パイプラインを作成し、従来2年かかっていた作業を大幅に短縮して10本以上の詳細な総説を作成しました。UCSF脳腫瘍センターのStephen Francis准教授のチームも、神経膠腫のゲノム解析所要時間を従来の10分の1に短縮したと報告しています。

同社はアカデミア向けに割引席を提供するほか、最大50件のプロジェクトに対して最大3万ドルのクレジットを提供する支援枠を設けており、2026年7月15日まで申請を受け付けています。

なぜ重要か

私たちは、Anthropicが専用の生物モデルを一から開発するのではなく、ワークフローを束ねる「OS(操作基盤)」の獲得に舵を切った点を非常にクレバーだと評価しています。

現在、ライフサイエンスAI市場では主要各社の戦略が分かれています。OpenAIは4月に高度な生物学的推論に特化したモデル「GPT-Rosalind」を発表したものの、厳格な審査を経た一部のエンタープライズ顧客に限定しています。Google DeepMindはAlphaFoldに代表される強力な独自モデルを抱え込んでいます。これに対しAnthropicは、ソフトウェア開発におけるClaude Codeと同様に、既存のモデルとインフラをつなぐ実用的な作業環境をサブスクリプション会員に幅広く開放しました。

研究室のローカルHPCをそのまま活用し、データを手元に残したままGPUをぶん回せる設計は、厳格なデータ管理が求められる研究現場のニーズに合致しています。

ただし懸念点もあります。引用や計算を検証するレビュアーエージェントも、元を正せば同じClaudeモデルです。外部の厳密なファクトチェックデータベースと物理的に同期しているわけではないため、論文投稿前の最終段階では依然として研究者自身による入念な人間の目での確認が欠かせないと考えられます。

情報源 (4)

  1. [1]
    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com
  2. [2]
    statnews.com(新しいタブで開きます)報道statnews.com
  3. [3]
    blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)報道blogs.nvidia.com
  4. [4]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com

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