Anthropicが「Claude 2」公開、10万トークン対応でウェブ版ベータも提供開始
Anthropicは新モデル「Claude 2」を発表し、ウェブサイトclaude.aiで一般向けベータ版の提供を開始した。最大10万トークンの入力に対応し、コーディング試験HumanEvalのスコアは71.2%に向上。米国と英国向けに公開されており、APIも前世代と同価格で提供される。

分厚い技術仕様書や数百ページの決算資料をAIに読ませようとして、テキストを細切れにしては文脈を見失うモデルにため息をついた経験はないでしょうか。
米Anthropicは7月11日、次世代の大規模言語モデル「Claude 2」を発表しました。あわせて一般向けのベータ版Webサイト「claude.ai」を開設し、米国と英国のユーザー向けに無料公開を開始しています。APIの提供も始まっており、企業向け価格は前バージョンのClaude 1.3から据え置きとされました。
文庫本一冊を丸飲み、プログラミング能力も急伸
最大の進化は、一度に扱えるコンテキストウィンドウが10万トークン(100K)に拡大した点です。これにより、ユーザーは数百ページに及ぶ技術資料や書籍丸ごと一冊をプロンプトに投入できるようになりました。出力も数千トークン規模に対応し、長文メモや文章を一気に書き出すことが可能です。
性能面ではコーディングと推論能力が大きく向上しました。Pythonのコーディングテスト「Codex HumanEval」のスコアは、前代の56.0%から71.2%へ跳ね上がっています。小学校レベルの算数問題集「GSM8k」でも85.2%から88.0%に向上しました。
司法試験の択一式セクションでは76.5%を記録し、Claude 1.3の73.0%から前進。米大学院適性試験(GRE)では、リーディングとライティングで志願者の上位10%以内(90パーセンタイル超)に入り、数学的推論でも志願者の中央値と同等の成績を収めました。
安全性に関しては、有害プロンプトを用いた社内レッドチーム評価において、有害な出力を避ける能力が前代の2倍に向上したとしています。
すでに法人導入も進んでおり、文章生成ツールのJasperは長文処理の低遅延性を高く評価しています。また、開発支援ツールのSourcegraph Codyでは、10万トークンの窓と最新の学習データを活かし、巨大なコードベースや新しいフレームワークの解析に活用されています。
なぜ重要か
筆者としては、モデル性能の向上以上に、無料のWebインターフェース「claude.ai」を一般開放した点が極めて戦略的だと考えます。これまでAnthropicの長文処理能力は一部の提携先やAPI経由に閉ざされがちでしたが、誰もがブラウザから触れる環境が整いました。
膨大な論文や契約書を読み解くリサーチャーや、過去のコードベースを丸ごと読み込ませたいエンジニアにとって、10万トークンの実用性は今すぐ試す価値があります。分割作業から解放されるメリットは絶大です。
業界全体にとっても、API価格を据え置いたままコンテキスト長とコーディング能力を一気に底上げしたことで、OpenAIをはじめとする競合各社に強いプレッシャーを与えることになります。医療やメンタルヘルスなど慎重を要する領域での利用制限やハルシネーションの課題は残るものの、長文処理における実用的な選択肢として存在感を一気に高めた格好です。
情報源 (2)
- anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com
- arstechnica.com(新しいタブで開きます)報道arstechnica.com