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業界動向

Anthropic、中国AI大手3社がClaudeから「不正蒸留」したと告発

公開 拡散指数 47

AnthropicはDeepSeek、Moonshot、MiniMaxの3社が約2万4000件の不正アカウントを使い、1600万回以上の対話を通じてClaudeの推論やコーディング能力を不正に蒸留したと公表した。安全対策を欠いた複製モデルの拡散を防ぐため、行動検知や情報共有を進めるとしている。

Anthropic、中国AI大手3社がClaudeから「不正蒸留」したと告発
画像:anthropic.com

大規模言語モデルの出力を使って別のモデルを訓練する「蒸留」は、AI業界では広く知られた手法です。しかし、名指しで具体的なログや規模を公表し、競合他社を告発するケースは極めて異例です。

米Anthropicは2月23日、中国のAI開発企業であるDeepSeek、Moonshot AI(月之暗面)、MiniMaxの3社が、Claudeの能力を不正に抽出する産業規模の蒸留攻撃を行っていたと発表しました。

同社によると、3社は約2万4000件の不正アカウントを使用し、Claudeに対して合計1600万回以上のやり取りを生成していたといいます。

各社が狙ったClaudeのコア能力

Anthropicの分析によると、3社の抽出ターゲットはClaudeが強みを持つ領域に集中していました。

最も規模が大きかったのはMiniMaxで、通信量は1300万回を超えていました。主にエージェント型のコーディングやツール連携が狙われました。Anthropicが運用中に新モデルをリリースした際、MiniMaxは24時間以内にトラフィックの約半分をその新モデルへと切り替えたと報告されています。

Moonshotは340万回以上のやり取りを行い、推論やツール利用、コンピュータ操作エージェントなどのデータ収集を試みていました。リクエストのメタデータから幹部スタッフの公開プロフィールに紐付いたとされます。

DeepSeekは約15万回と件数自体は少ないものの、手法が非常に緻密でした。思考プロセスのステップをClaudeに出力させて思考連鎖(CoT)データを集めたり、強化学習の報酬モデルとしてClaudeに採点させたりしていました。さらに、政治的にセンシティブな話題を回避するための代替回答を生成させていたことも確認されています。

プロキシ網「ヒドラ」への対抗措置

Anthropicは現在、安全保障上の理由から中国本土向けにClaudeを提供していません。そのため、これらの企業は商業プロキシサービスを介し、多数のアカウントにアクセスを分散させる「ヒドラ・クラスター」と呼ばれる手法を用いていました。

あるプロキシでは2万件以上のアカウントが同時に運用され、一般のトラフィックに紛れ込ませて検知を逃れていたといいます。

これに対しAnthropicは、推論プロセスを誘引する特有のプロンプトを検知する行動フィンガープリント技術を導入し、教育機関向けなどの認証を強化しました。さらに、モデルの出力品質を維持しながら二次学習への有用性を下げる対策も進めています。

なぜ重要か

この告発は、単なる利用規約違反の公表にとどまらず、米中AI競争の構図に直接踏み込んだ動きだと私たちは考えています。

技術的に見れば、蒸留自体は一般的な手法ですが、競合他社の最新モデルに24時間で追従しデータを吸い上げるスピード感は、後発企業の開発サイクルの恐ろしさを浮き彫りにしています。一般の開発者にとっては、APIの審査やボット判定が今後さらに厳格化し、利用ハードルが上がる懸念があります。

より注目すべきは、Anthropicがこの問題を米国の輸出管理政策と結びつけて論じている点です。中国勢の急速な進化は自前技術だけでなく米国のフロンティアモデルからの抽出に依存していると主張することで、半導体規制の正当性を補強し、安全保障上の危機感をアピールしています。自社の知的財産を守ると同時に、米政府の政策方針を強力に後押しする極めて政治的かつ計算された一手といえます。

情報源 (1)

  1. [1]
    anthropic.com(新しいタブで開きます)原文anthropic.com

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