Anthropic、「Computer use」を正式提供 Web構造解析や一括操作に対応
Anthropicは「Computer use」「Skills API」「Files API」をClaude Platformで一般提供した。新機能「Browser use」により画面のコード構造を解析して正確な操作が可能になったほか、1ターンで複数アクションを連続実行でき作業時間を大幅短縮。HIPAAにも対応した。Skills APIや1TBストレージのFiles APIと組み合わせ、実運用レベルの自律エージェント構築を支援する。

社内システムにAPIがなく、AIにブラウザの自動操作を任せようとして座標のクリックミスに悩まされた経験がある人は少なくないはずです。
Anthropicは、エージェントを本番環境で安定して稼働させるための3つのツールを正式リリースしました。Computer use、Skills API、Files APIがClaude Platformで一般提供開始となり、Web操作に特化した新しいBrowser useツールも追加されています。
DOM構造の認識と複数アクションの連続実行
従来のComputer useは画面のスクリーンショットを視覚的に解析して座標を指定していたため、誤操作のリスクが残っていました。
新たに追加されたBrowser useツールは、スクリーンショットに加えてWebページのDOM構造を直接読み取ります。画面上のピクセルではなく特定のボタンや入力フィールドを識別して操作するため、実行精度が大幅に向上しました。
さらに、1回のモデル呼び出しで複数のアクションをまとめて実行できるマルチアクションターンに対応しました。クリックするたびにモデルを呼び出す必要がなくなったことで、処理時間が大幅に短縮されます。
APIが存在しない医療や保険のレガシーシステムを使ったテストでは、32分かかっていた請求処理が13分に短縮され、プロンプトを変更することなくタスクコストが約30パーセント削減され、完了率は100パーセントに達したと報告されています。
また、アップデートされたComputer useはBAAに基づくHIPAA規制対象のワークロードにも対応しました。
自前ホスティング不要のSkillsと1TBのFiles API
実務に耐えうるエージェントを作るためのデータ管理基盤も同時に整えられました。
Skills APIでは、手順書やスクリプト、テンプレートをまとめたフォルダをバージョン管理付きでアップロードできます。Claudeのコード実行サンドボックス内で必要なときだけ読み込まれるため、開発側で実行環境をホストする必要がありません。
Boxはこの機能をBox Agentに組み込み、金融機関の信用分析手順をスキルとして登録することで、財務諸表からアナリスト向けの信用メモを自動作成するワークフローを実現しています。
Files APIは組織あたり1TBのストレージを提供し、レート制限が従来の5倍に引き上げられました。ファイルの自動有効期限設定にも対応しており、一度アップロードしたドキュメントはID指定で何度でも再利用できます。
Skills APIとFiles APIはMicrosoft Foundryでも提供が始まっており、操作系ツールもGoogle CloudのVertex AIに近く導入される予定です。
なぜ重要か
ベンチマークのスコア競争から一歩抜け出し、企業の泥臭い現場の自動化に正面から向き合った賢いアップデートだと評価できます。
開発者や業務自動化を進めるチームにとって、APIのない古い業務システムをAIに任せるハードルが劇的に下がりました。処理時間が半減し、コストが約3割下がるとなれば、これまで費用対効果が見合わなかった社内業務でも導入を検討する価値が十分に出てきます。
特に、コード実行用のサンドボックスやファイル保存、プロンプトのバージョン管理といった周辺インフラをすべて自社プラットフォーム側で抱え込んだ点が強力です。開発者は複雑な仕組みをゼロから構築することなく、自社の業務ルールをスキルとして渡すだけで済みます。
懸念点としては、DOM構造を参照できるようになったとはいえ、JavaScriptで複雑に動的生成される画面や特殊な企業ポータルでの挙動安定性です。完全に人間の確認を省けるかといえば、まだ慎重な検証が必要でしょう。
それでも、エージェントに必要な視覚、操作、業務知識、ファイルストレージを統合して提供し始めたことで、競合するクラウドベンダーに対する大きな差別化要因になりそうです。
情報源 (1)
- claude.com(新しいタブで開きます)原文claude.com