AMD、72基のMI455X搭載ラック「Helios」発表 NVIDIAに対抗
AMDは72基のInstinct MI455X GPUを搭載したAIラック「Helios」を発表した。NVIDIAのVera Rubin NVL72に対抗し、FP4演算性能で15%、HBM容量で50%上回るとアピール。マイクロソフトやOpenAIなどが採用を予定している。

これまでデータセンター全体を埋めるようなラック規模のAI基盤を調達しようとすれば、Nvidiaの独壇場を受け入れるしかありませんでした。
その力学を変えるべく、AMDが真っ向から対抗する巨大システムを正式発表しました。
サンフランシスコで開催された「Advancing AI」カンファレンスにて、AMDのリサ・スー会長兼CEOは、最新のラック規模AIプラットフォーム「Helios」を年内に出荷開始すると発表しました。
72基のMI455XとHBM4を1つのラックに統合
Heliosは、単にサーバーを積み重ねたものではなく、ラック全体を1つの巨大なアクセラレーターとして動作させるシステムです。
中核となるのは、HBM4メモリを搭載した72基の最新GPU「Instinct MI455X」です。
ここにEPYC Venice CPU、Pensandoのネットワーキング技術、そしてROCmソフトウェアを統合し、共同設計されたオープンなプラットフォームとして提供されます。
公表された性能は、FP4演算で2.9エクサフロップス、31TBのHBM4容量、そして260TB/sのスケールアップ帯域幅に達します。
AMDによると、Nvidiaの次世代ラック「Vera Rubin NVL72」と比較して、AI演算性能で最大15%、HBM容量で50%、スケールアウト帯域幅で50%上回っていると主張しています。
なお、データセンター向けの次世代プロセッサ「Venice-X CPU」も発表され、こちらは2027年の投入が予定されています。
ギガワット規模で調達に動く主要AI企業
Heliosは2025年に初公開され、2026年1月のCESでも披露されていましたが、すでに業界トップクラスの顧客リストを確保しています。
OpenAI、Meta、Oracle、Anthropic、そしてMicrosoftがすでに導入を計画しています。
Microsoftのサティア・ナデラCEOはAzure基盤へHeliosを採用することを明言し、Anthropicは最大2ギガワット規模のGPUをHelios経由で展開する戦略的提携を発表しました。
スーCEOは、自律的に思考しツールを反復利用するエージェント型AIの普及が、これまでにない計算需要の急増を引き起こしていると指摘しました。
AMDの予測では、2030年までにAIアクセラレーター市場は約1.4兆ドルに達し、現在の半導体市場全体の規模に迫ると見込んでいます。
なぜ重要か
フロンティアモデルを開発する企業やクラウド事業者にとって、Heliosの登場はNvidiaへの依存を減らし、調達の交渉力を取り戻すための極めて有力な選択肢となります。
特にHBM容量がNVL72より50%多い点は、長大なコンテキストを保持し、大量のメモリを消費する推論やエージェント処理において大きな強みになります。
業界全体で見れば、AI競争の主戦場が「GPU単体の性能競争」から「ラック全体のネットワークと熱設計を含めたシステム統合力」へ完全に移行したことを意味します。
AMDがハードウェアスペックで互角以上の数字を揃え、初手からAnthropicやMicrosoftといったメガカスタマーのコミットを引き出した点は非常に巧みです。
ただし、数千から数万基規模の超巨大クラスタで長期間学習を回した際のハードウェア安定性や、ROCmエコシステムの熟成度については、実稼働が始まってから真価が問われることになります。
情報源 (2)
- amd.com(新しいタブで開きます)原文amd.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com