OpenAIのアルトマン氏、EUのAI規制に対応できなければ撤退を示唆
OpenAIのサム・アルトマンCEOはロンドンでの講演後、EUが準備中のAI規制法案に準拠できない場合、欧州での事業を停止する可能性があると警告した。ChatGPTなどの大規模モデルを「高リスク」に分類する現行草案に懸念を示している。

欧州歴訪中だったOpenAIのサム・アルトマンCEOは水曜日、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジで開かれた討論会の傍らで、現在準備が進められているEUの「人工知能法(AI法案)」に準拠できない場合、欧州連合(EU)での「事業停止」に踏み切る可能性があると警告した。
アルトマン氏は規制順守に努める姿勢を見せつつも、技術的に実現可能なことには限界があると釘を刺した。OpenAI側は法案の現行条文に多くの批判を抱えているという。
「高リスク」指定を巡る対立
対立の核心は、草案における「高リスク」システムの定義にある。現行の文面では、ChatGPTやGPT-4のような大規模AIモデルが高リスクに分類され、極めて厳格な追加的安全基準への対応を義務づけられる可能性がある。
これに対しOpenAIは、汎用システムそのものが本質的に高リスクであるわけではないと主張してきた。アルトマン氏は法自体に根本的な欠陥があるわけではないとしつつも、細かな定義の違いが極めて重要だと強調し、米欧の中間的な規制アプローチを望んでいると語った。
さらに同氏は、AIによる誤情報が2024年の米大統領選に与える懸念に触れつつ、拡散の主因はモデル自体ではなくソーシャルメディア側にあると指摘した。また、来年に完了予定のベーシックインカムに関する5年間の独自研究を踏まえ、2024年には富の再分配に関する提言も公に行っていく意向を示した。
会場外では反発の声も上がった。「自殺的なAGIレースを止めろ」というプラカードを掲げた抗議者たちが詰めかけ、アルトマン氏は登壇後に彼らと直接言葉を交わす場面もあった。
なぜ重要か
OpenAIがEU市場から撤退した場合、最も大きな影響を受けるのは欧州のスタートアップや開発者だ。最先端のAPIへの直接アクセスを断たれれば、競合する米中市場との開発スピードの差は決定的なものになりかねない。
業界全体にとって、今回の発言は世界初の包括的ルール作りに向けた主導権争いを象徴している。EU基準が世界標準になる恐れがあるため、OpenAIとしては草案の修正段階で強い圧力をかけておく必要がある。
事業撤退という強硬な言葉を使ってはいるが、欧州という巨大な経済圏を本気で手放すことは同社のビジネス戦略上考えにくい。最終的な法的定義をできる限り緩和させるための、高度なロビー活動の一環と見るのが自然だろう。
情報源 (1)
- time.com(新しいタブで開きます)原文time.com