アリババ、画像生成を4歩に短縮する「CDM」発表 画質を保ち5倍高速化
アリババは拡散モデルの生成速度を引き上げる新手法「CDM」を発表した。通常20〜50ステップかかるノイズ除去をわずか4ステップに短縮し、既存のDMD2で目立ったプラスチックのような質感の低下を防止。SD3やLongCatに対応し、手元のGPUでほぼリアルタイムに高画質画像を生成できる。

画像生成AIを使う際、最大のストレスは待ち時間です。従来の拡散モデルはランダムノイズから画像を生成するために20〜50ステップの計算を繰り返す必要があり、1枚出すだけでも十数秒から数十秒かかっていました。これまでの高速化技術では4ステップ化も可能でしたが、肌や質感がテカテカとしたプラスチックのようになってしまう画質劣化が大きな課題でした。
アリババは5月7日、この課題を克服する新しい画像生成加速手法「CDM(Continuous-Time Distribution Matching)」を発表しました。20〜50ステップかかっていた処理をわずか4ステップに短縮し、画質を落とさずに約5倍の高速化を実現します。
補助モデルに頼らず、不自然なプラスチック感を解消
従来の代表的な高速化手法であるDMDやDMD2は、少数の決められた離散的なステップで学習を監督していました。しかし、この方式は画像を過度に平滑化してしまう傾向があり、人形のような不自然な質感を生みやすかったのです。これを補うため、従来はGANや報酬モデルといった重い補助機構を追加で組み合わせる必要がありました。
アリババのCDMは、この制約を根本から見直しました。固定されたステップではなく、ランダムな長さの動的連続スケジュールを採用し、軌道上の任意のポイントで分布マッチングを実施します。
さらに、学生モデルの速度場を用いて潜在空間で能動的なオフ軌道アライメントを行う仕組みを導入しました。これにより、GANなどの複雑な追加モジュールに頼ることなく、髪の毛や微細なテクスチャなどの細部をそのまま保持できるようになりました。
SD3やLongCatで実証、一般的なGPUで数秒生成へ
研究チームはCDMを「Stable Diffusion 3(SD3-Medium)」および「LongCat-Image」に適用して検証を行いました。美学スコアや画質指標などのベンチマークにおいて、CDMはDMD2を明確に上回り、不自然なテクスチャの潰れを大幅に改善しています。
これにより、一般的なコンシューマー向けGPUであっても、わずか数秒で高解像度の画像を生成できるようになり、体感速度はほぼリアルタイムに近づきます。すでに論文とともにソースコードも公開されており、SD3とLongCat向けに利用可能です。
なぜ重要か
画像生成ツールを創作や業務フローに組み込む上で、生成速度と画質の両立は不可欠です。クリエイターにとって、4ステップで破綻のない画像が出せることは、手元のローカル環境で試行錯誤を高速に回せることを意味します。高価なクラウドリソースを使わずに済む点も大きな魅力です。
業界の視点で見ると、補助的な判別器や報酬モデルを継ぎ足す対症療法ではなく、連続時間最適化という数理的アプローチによって少ステップ蒸留の限界を突破した点が非常に優れています。
現時点での対応はSD3-MediumやLongCatが中心ですが、コミュニティが真に期待しているのはFluxやQwenといった最新の主要オープンソースモデルへの応用です。極限までステップを削った際に、複雑なプロンプトへの追従性がどこまで維持できるかを含め、今後の実戦投入での検証が注目されます。
情報源 (1)
- arxiv.org(新しいタブで開きます)原文arxiv.org