AIaaSが変える企業分析:自社開発の高コストを抑えデータチームを本来の業務へ
VentureBeatの報道によると、予測分析などの需要増加に伴い、高額なインフラ投資を避けてAIaaSを導入する企業が増えています。ClearMLのCEOであるMoses Guttmann氏は、AIaaSが汎用的な基盤課題を肩代わりすることで、社内チームが独自のビジネス課題に集中できると指摘しています。
社内で独自の機械学習モデルを構築するのは魅力的ですが、膨大なクラウド費用と人材採用の壁に直面して断念する企業は少なくありません。
そうした課題を背景に、必要な機能をクラウド経由で利用する「AIaaS(AI-as-a-service)」への移行が急速に進んでいます。高額なインフラを自前で用意することなく、API経由ですぐに使えるプラットフォームが普及し始めています。
専門チームなしで導入できる仕組み
調査会社 Research and Markets の試算によると、世界の AIaaS 市場は2024年までに約116億ドル規模で拡大する見込みです。自然言語処理や画像認識、ロボティクスから高度な予測分析まで、幅広い技術がサブスクリプション型で提供されています。
これまで企業が AI を導入するには、社内に専門家チームを抱えて一から開発するか、外部の受託開発会社に高額な費用を払って依頼するしかありませんでした。
機械学習プラットフォーム ClearML の共同創業者兼CEOである Moses Guttmann 氏は、従来の外注には大きな課題があったと指摘します。それは運用保守の難しさです。開発のノウハウはベンダー側に残り、発注企業には蓄積されません。
対する AIaaS は、扱いやすい API と連携ワークフローを備えた共通プラットフォームを提供します。企業は出来合いのモデルを数週間で自社の業務ロジックやプロダクトへ組み込むことができます。
社内人材は「自社独自のデータ」に集中させる
ただし、社内のデータサイエンティストが不要になるわけではありません。
Guttmann 氏は、企業にとって機械学習の真の価値は、独自の制約やユースケース、保有データとの組み合わせにあると説明します。そのため、業務を熟知した社内人材は依然として必要です。
AIaaS の役割は、複数クラウドにまたがる検証やインフラ運用といった泥臭い重労働を引き受けることです。汎用的な課題を外部サービスに任せることで、社内のデータサイエンティストはビジネスに直結する独自領域の開発に集中できます。
なぜ重要か
自前のモデル開発に予算を割けない中堅・中小企業にとって、AIaaS はもっとも現実的な選択肢です。ゼロからインフラを整えなくても、すでに検証済みのアルゴリズムを数週間で試すことができ、先行投資の失敗リスクを大幅に抑えられます。
業界全体にとっても、AI 導入のハードルが一気に下がったことで、高額な受託開発で稼いできた従来の IT コンサルティングモデルは見直しを迫られています。今後は、自社で基盤モデルを囲い込む企業よりも、使いやすい API やワークフローを素早く提供できる事業者が支持を集めるはずです。
運用の重荷を外部プラットフォームに逃がすアプローチは非常に合理的だと考えられます。一方で注意したいのはベンダーロックインです。基幹業務をサードパーティの API に全面的に依存すると、仕様変更や利用料金の値上げ、データ管理のリスクを自社でコントロールできなくなります。汎用タスクには AIaaS を活用しつつ、コアとなる独自データの主導権は手元に残しておくバランスが欠かせません。
情報源 (2)
- @VentureBeat(新しいタブで開きます)原文x.com
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)報道venturebeat.com