本文へスキップ
IFAI

AIモデル

次世代AI開発に壁、データ枯渇でOpenAIやGoogleの進化が減速か

公開 拡散指数 60

報道によると、OpenAI、Google、Anthropicの各社が次世代AIの開発で壁に直面している。最大の要因は高品質な訓練データの枯渇と著作権問題だ。OpenAIの「Orion」は性能向上が限定的とされ、Anthropicも「Claude 3.5 Opus」の公開を延期したと伝えられている。

データを増やせば増やすほど、AIは魔法のように賢くなり続ける。これまでのAI業界を支配してきたそんな前提が、大きな壁に直面しています。

Bloombergなどの報道によると、OpenAI、Google、Anthropicの主要3社が、次世代の最先端AIモデルの開発において相次いで性能向上の鈍化に悩まされていることが明らかになりました。原因はシンプルで深刻です。トレーニングに必要な、新しい高品質データがインターネット上から枯渇しつつあります。

期待されたOrion、GPT-4級の飛躍には届かず

象徴的なのが、OpenAIが「Orion」のコードネームで開発を進めている新モデルです。9月に初期トレーニングを完了し、従来のChatGPTを大きく上回る成果が期待されていました。

しかし、事情に詳しい関係者によると、社内の期待値には届いていません。晩夏のテストでは、過去の学習データに含まれていないプログラミング課題への対応に苦戦したとされています。GPT-3.5からGPT-4へと進化したときのような劇的な性能向上は見られない、というのが関係者の受け止めです。

この停滞はOpenAIに限りません。Googleの最新Geminiも社内目標を達成できておらず、Anthropicも待望のClaude 3.5 Opusのリリースを延期するなど、業界全体が同様のブレーキに見舞われています。

枯渇するデータと、膨らみ続けるコスト

モデルが頭打ちになっている最大の要因は、学習用データの限界です。Web上の公開データは大半が吸い尽くされ、著作権保護の強化や訴訟によって新たなデータ収集は厳しさを増しています。Sam Altman氏自身、著作権のある素材なしで最先端モデルを作ることはほぼ不可能だと認めています。

さらに開発費用の高騰も重くのしかかります。OpenAIは最近、MicrosoftやNvidiaなどから66億ドルの資金を調達して評価額1570億ドルに達したものの、それ以前には50億ドルの損失を見込んでいました。黒字化は2029年まで見込めないとの見方もあり、巨額のインフラ投資に対して得られるリターンが小さくなれば、事業継続のハードルは急上昇します。

なぜ重要か

一般ユーザーやエンジニアにとって、これは「待っていれば数か月ごとに魔法のようなモデルが現れる」というフェーズの終わりを意味します。モデル自体の劇的な進化を当てにするのではなく、既存のモデルを前提にプロンプトやワークフローを工夫し、現実の業務にどう落とし込むかという現場の設計力が問われるようになります。

業界全体から見れば、データと計算資源をただ力任せに投入するスケーリング則が物理的な限界に達しつつあることを示しています。今後はWebのテキストを丸呑みするのではなく、合成データの活用や推論時計算の最適化といった、より高度で工夫のいるアプローチへのシフトを余儀なくされます。

私たちは、この減速は業界の健全化にとってむしろ必然的な通過点だと考えます。これまで過熱してきたAGIへの期待と巨額投資が、現実の技術的限界とコストの壁に直面した形です。巨額の資金を燃やし続けるモデル開発競争は、収益化の確かな道筋を示せなければ、投資家の厳しい選別を受けることになるでしょう。

情報源 (2)

  1. [1]
    bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
  2. [2]

毎日のAIピックアップ