AdobeがPremiereを強化:端末内AIで被写体を自動追従、マスク追従は最大20倍高速化
Adobe は Premiere 向けに端末内 AI を活用した「Object Mask」を発表した。マウスを重ねてクリックするだけで動く被写体を正確に追従できる。形状マスクのトラッキング速度も最大 20 倍に向上し、Firefly Boards からの素材取り込みにも対応。After Effects 26.0 も同時提供される。

動画編集の現場で最も忍耐を強いられる作業といえば、間違いなくマスク切りです。動く被写体に合わせてベジェ曲線のハンドルを1フレームずつ微調整する作業は、多くのクリエイターにとって悩みの種でした。
Adobeは、出品作の85パーセントが自社ツールを使用しているという2026年サンダンス映画祭の開幕に合わせ、Premiere ProとAfter Effects 26.0の大規模アップデートを公開しました。今回の刷新は、そうした地道な手作業をAIと新エンジンで劇的に高速化することに主眼が置かれています。
カーソルを合わせるだけで被写体を追跡
Premiere Proの目玉機能は、端末上で動作するAIオブジェクトマスクです。画面内の人物や物体にカーソルを重ねると輪郭が自動でハイライトされ、クリックするだけで高精度なトラッキングマスクが生成されます。
プレビューは6色のカラーオーバーレイとアルファ表示に対応しており、投げなわツールや矩形ツールで追加や除外も可能です。このAIモデルは完全にローカル環境で処理され、ユーザーの映像素材がクラウドに送信されたり、モデル学習に利用されたりすることはありません。
長年使われてきた矩形やペンツールなどのシェイプマスクも再設計され、トラッキング速度は従来比で最大20倍に高速化されました。処理中のリアルタイムプレビューやfps表示に対応したほか、双方向トラッキングや3D遠近トラッキングも利用可能です。トラッキングがズレた場合でも、新設されたフレーム編集モードを使えば、数箇所の修正を数百のキーフレーム全体に滑らかに合成できます。
さらに、共同ブレインストーミングツールのFirefly Boardsからアセットをタイムラインへ直接読み込めるようになったほか、Frame.io V4パネルのネイティブ統合やAdobe Stockの直接検索にも対応しました。
After Effectsで本格的な3Dメッシュ作成が可能に
After Effects 26.0では、モーショングラフィックス向けの機能が大幅に強化されました。コンポジション内で直接、球体や立方体、円柱などのパラメトリック3Dメッシュをゼロから作成できるようになり、スポットライトや平行光の影も表現可能です。
また、1300種類以上のSubstance 3Dマテリアルが無料で提供され、パラメーターをキーフレームでアニメーション化できます。SVGファイルをシェイプレイヤーとしてそのまま読み込めるようになったほか、バリアブルフォントの太さや傾きをエクスプレッションで直接動かせる機能も追加されました。
なぜ重要か
今回のアップデートは、派手な自動動画生成ではなく、プロが毎日直面する地味で重いペインを解消しにきたという点で極めて実用的だと評価できます。被写体の切り抜きや追跡が最大20倍速くなるだけでも、ポストプロダクションの現場にとっては残業時間を直接削るほどのインパクトがあります。
AI処理を完全にオンデバイスで完結させた判断も賢明です。未公開フッテージを外部サーバーに上げたくない映画スタジオや広告代理店にとって、データ流出や規約上のリスクを気にせず導入できる大きな理由になります。
DaVinci Resolveの強力なトラッキングやカラーグレーディング機能、さらには台頭する軽量なAI動画編集ツールとの競争は激しさを増していますが、今回の機能強化はPremiereとAfter Effectsのエコシステムを強固にし、既存ユーザーの乗り換えを思いとどまらせるに十分な説得力を持っています。作業効率を重視するプロの編集者なら、今すぐアップデートして試す価値があります。
情報源 (1)
- blog.adobe.com(新しいタブで開きます)原文blog.adobe.com