元Meta技術者が自律型Webエージェント「Jace」を発表、ブラウザ操作を代行
元Metaのエンジニアが設立したZeta Labsが自律型AIエージェント「Jace」を発表し、290万ドルの資金調達を実施した。ユーザーの指示を受けてクラウド上のブラウザを直接操作し、ホテル予約や採用業務などの複数ステップを自動で完結させる仕組みだ。
AI に出張のフライト手配や求人投稿を頼んでも、最後の手続きや入力作業は結局人間がブラウザを開いてポチポチやるのが日常でした。
元 Meta のエンジニア2人が立ち上げた英ロンドンのスタートアップ Zeta Labs は、ブラウザ上での一連の作業を人間に代わって自律実行する AI エージェント「Jace」を発表しました。
同社はあわせて、元 GitHub CEO の Nat Friedman 氏と元 Y Combinator AI 責任者の Daniel Gross 氏が主導するプレシードラウンドで 290 万ドルを調達したことも明らかにしています。ElevenLabs 創業者の Mati Staniszewski 氏らも出資に参加しました。
会話からクラウド上の実務へ
共同創業者の一人である Peter Albert 氏は、8年前に EC 事業を手がけていた際、データの転記など退屈なルーチンワークに追われた経験からこの構想を抱いたといいます。大規模言語モデルの進化を受け、同じく Meta のエンジニアだった Fryderyk Wiatrowski 氏とともに開発を始めました。
使い方はチャットボットと大きく変わりません。対話形式でやりたい作業を指示すると、AI が自動で計画を立ててクラウド上のブラウザで作業を開始します。
例えばホテルの予約を頼めば、候補を探すだけでなく公式サイトにアクセスして決済直前まで進めます。LinkedIn での採用パイプライン構築や広告運用の立ち上げのほか、実験では事業計画の作成から会社登記、最初の顧客獲得まで完了させたケースもあったとされています。ユーザーはクラウドブラウザの画面に切り替えて、作業の進捗をリアルタイムで確認可能です。
10ステップの壁を超えるアーキテクチャ
ブラウザ操作エージェントの最大の課題は、10ステップ前後で画面の変化に対応できず無限ループに陥りやすい点にありました。
Zeta Labs はこれに対し、役割を分けた独自構成を採用しています。通常の大型 LLM が対話と計画策定を担い、自社開発のブラウザ操作専用モデル「AWA-1」が実際のクリックや文字入力を担当します。オープンソースモデルをベースに、合成データと AI フィードバックによる強化学習(RLAIF)でチューニングされています。
さらに、各手順が本当に完了したかをチェックする検証システムを組み込むことで、数百ステップに及ぶ複雑なタスクでも止まらずに実行できるとしています。LinkedIn などのログイン情報は、パスワードマネージャーと同様の暗号化方式で保護されます。
なぜ重要か
テキストを出力して終わりだった生成 AI が、手足を持って自律的にタスクを完結させるフェーズへと明確に移行しつつあります。
業務の現場にとって、複数のクラウドサービスやウェブ画面を行き来する定型業務を丸ごと任せられるメリットは非常に大きいです。ただし、決済や重要アカウントの権限を伴う作業を完全に任せるには、依然として誤操作やセキュリテイ面の心理的ハードルが残るため、現時点ではチェックを挟みながら試すのが現実的とみられます。
技術的なアプローチとしては、高レベルの推論と低レベルの画面操作を別のモデルに切り分けた判断は非常に合理的です。汎用モデルだけで全クリックを追うよりも、コストや応答速度の面で実用性が高くなります。
とはいえ、現実のウェブサイトはデザイン変更やボット対策が頻繁に行われます。数百ステップに耐えうる安定性を実際のオープンな環境でどこまで維持できるかが、今後の普及を占う試金石になりそうです。
情報源 (2)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com
- blog.kowatek.com(新しいタブで開きます)報道blog.kowatek.com