YouTube Studioが刷新:対話型AI「Ask Studio」や20言語のリップシンク吹替を導入
YouTubeはの「Made on YouTube」にて、クリエイター向け新機能を発表しました。分析や企画の相談ができる対話型AI「Ask Studio」に加え、タイトルとサムネイルの比較テスト、20言語対応のリップシンク自動吹替、顔の無断使用を検知する機能などを順次展開します。

動画を投稿したあと、複雑なアナリティクス画面とにらめっこしながら頭を抱えた経験があるクリエイターは少なくないはずです。
YouTubeは9月16日の「Made on YouTube 2025」イベントで、月間3000万人以上が利用するYouTube Studio向けの一連のAI機能アップデートを発表しました。企画出しからデータ分析、多言語吹き替え、ディープフェイク対策まで、クリエイターの作業負荷を減らす機能が並んでいます。
チャットで分析を聞ける「Ask Studio」と新テスト機能
今回の目玉は、管理画面に常駐するAIアシスタント「Ask Studio」です。クリエイターは複雑な数値を追わなくても、「前回の動画の調子はどう」「編集スタイルについて視聴者は何と言っている」とチャットで質問するだけで、チャンネル固有のデータを踏まえた改善案を返してくれます。
企画段階を支援する「インスピレーション」タブも刷新されました。プロンプトを入力するごとに9つの新しいアイデアを提案し、視聴者の行動データを根拠に「なぜこの企画が伸びる可能性があるのか」まで解説します。
また、サムネイルだけでなくタイトルのA/Bテストにも対応しました。1本の動画に対して最大3パターンのタイトルとサムネイルを同時に検証できます。2023年に導入されたサムネイルテスト機能はこれまで1500万回以上利用されたとのことですが、TechCrunchは1日2000万本以上の動画が投稿される規模を考えると、まだ普及の余地が大きいと指摘しています。
リップシンク吹き替えと顔の盗用検出
グローバル展開に向けた技術も進化しています。20言語に対応した自動吹き替え機能に、話者の唇の動きを翻訳音声に合わせる「リップシンク」が近日中にテスト導入されます。YouTubeの調査によると、視聴者が自動吹き替え版を視聴した時間は、オリジナル版の75%以上に達しているといいます。
コラボレーション機能では、1本の動画に最大5人のクリエイターをタグ付けできるようになり、参加者全員の登録者フィードに動画が露出します。ただし、広告収益は動画を投稿したメインチャンネルにのみ支払われる仕組みです。
セキュリティ面では、顔の盗用を検知する「 likeness detection 」がYouTubeパートナープログラム(YPP)の全参加者を対象にオープンベータ化されました。MrBeastなどのトップクリエイターで先行テストされていたもので、自分の顔が無断で使われたAI動画を発見し、削除要請を出せるようになります。
なぜ重要か
YouTubeのアプローチは堅実だと私たちは考えます。動画そのものをAIに自動生成させる派手な演出には走らず、企画立案やクリック率検証といった泥臭い実務の自動化に徹しているためです。データ分析にリソースを割けない個人の配信者にとって、Ask Studioやタイトルテストは実用性の高い武器になります。
20言語のリップシンク吹き替えも、解説系や教育系クリエイターにとっては海外進出のハードルを一気に下げる起爆剤になりそうです。
懸念点としては、コラボ動画の収益分配がシステム化されておらず、外部での個別精算が必要な点が挙げられます。また、AIによる顔の盗用対策が収益化済みのYPPクリエイターに限定されているため、登録者数の条件を満たしていない小規模なクリエイターが依然としてディープフェイクの被害に遭いやすい構図は残っています。
情報源 (2)
- blog.youtube(新しいタブで開きます)原文blog.youtube
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com