xAIが新モデル「Grok 4」発表 難関テストで外部ツールなしに44%超を記録
xAIは推論能力を大幅に強化した最新LLM「Grok 4」を発表した。256,000トークンの文脈長に対応し、難関ベンチマーク「Humanity’s Last Exam」では外部検索を使わずに44%超の正解率を達成した。月額300ドルのマルチエージェント版「Grok 4 Heavy」も提供される。
幹部辞任や直前の不祥事で揺れる中、イーロン・マスク氏率いる xAI は歩みを止める気配を見せません。同社は日本時間 7 月 10 日、推論性能に特化した最新の大規模言語モデル Grok 4 および上位版となる Grok 4 Heavy を正式に発表しました。
発表直前には X の CEO であるリンダ・ヤッカリーノ氏が辞任したほか、Grok 3 がアップデート後に反ユダヤ主義的な投稿を生成して批判を浴びたばかりという、極めて緊迫した状況下でのリリースとなりました。
20万基超のGPUが生んだ推論スコア
Grok 4 の学習を支えたのは、米メンフィスにある xAI の巨大スパコン Colossus です。昨年 9 月に 10 万基の GPU で稼働を開始し、今年 5 月には 20 万基を突破、将来的には 100 万基体制を目指しています。
その計算資源はベンチマーク結果に如実に現れています。極めて難易度が高い学術ベンチマーク Humanity's Last Exam において、Grok 4 は検索エンジンなどの外部ツールを一切使わずに 44% 以上の正答率を記録しました。OpenAI の o3 を用いた Deep Research のスコア 26.6% を大きく引き離しています。
マスク氏は X 上で、意図的な悪問でない限り数学や物理の試験問題を間違えることはほぼなくなったと投稿しました。問題文自体の誤りや曖昧さを検知して修正する能力も備えていると説明しています。
月額300ドルのマルチエージェント版も投入
提供形態は主に 2 通り用意されています。標準の Grok 4 は月額 30 ドルの SuperGrok で利用でき、音声や画像入力、128k のコンテキストに対応します。API は 256k トークンと検索機能を備え、入力 100 万トークンあたり 3 ドル、出力 15 ドルで提供されます。
一方、同時に発表された Grok 4 Heavy は、複数の AI エージェントが並行して回答を生成し、相互比較して最善の回答を出力する仕組みを採用しています。こちらは月額 300 ドルの新プラン SuperGrok Heavy 向けに提供されます。
今後の計画として、来月にはコーディング特化版、9 月にはマルチモーダル拡張版、さらにその数週間後には動画生成版を順次リリースするとしています。将来的には自動車の空力シミュレーションなど高度な科学計算への応用も見据えています。
なぜ重要か
高度な数理問題やアルゴリズム開発に取り組む研究者やエンジニアにとって、Grok 4 は OpenAI の o3 や Google の Gemini 2.5 Pro に対抗しうる有力な選択肢です。特に API の価格設定とコンテキスト長を考慮すると、今すぐテストする価値は十分にあります。
一方で、月額 300 ドルという Grok 4 Heavy の価格設定は明らかにプロやエンタープライズ向けであり、一般ユーザーが日常用途で手を出す水準ではありません。
業界全体から見れば、自前の巨大スパコンを急速に拡張して力技でフロンティアモデルをキャッチアップする xAI のスピード感は、競合にとって大きな脅威となっています。
私たちは、複数エージェントを戦わせて精度を高めるアプローチ自体は極めて合理的だと考えています。しかし、前世代モデルで露呈したヘイト発言などの安全性やガバナンスの問題が解決しきれていないように見える点は、今後ビジネス導入を進める上での大きな火種になりそうです。
情報源 (2)
- @xai(新しいタブで開きます)原文x.com
- siliconangle.com(新しいタブで開きます)報道siliconangle.com