xAIが「Grok 4.3 Beta」公開、プロンプトからPPTやExcel、PDFを直接出力可能に
xAIは月額300ドルの「SuperGrok Heavy」契約者向けに「Grok 4.3 Beta」を公開した。単一のプロンプトから数式入りのExcelシートやスライド、PDFを完成品として直接生成できる。マスク氏によると現行版は約5000億パラメータで、1兆パラメータ版の学習も進行中だという。

これまでのAIにスライド資料や財務モデルの作成を頼んでも、返ってくるのはマークダウン形式のテキストばかりでした。結局はユーザー自身が表計算ソフトに貼り付け、数式を組み直し、スライドのレイアウトを整える必要がありました。
xAIはその二度手間を省きにかかりました。4月17日、同社は月額300ドルの最上位プラン「SuperGrok Heavy」の加入者向けに「Grok 4.3 Beta」を静かに公開しました。派手な発表イベントはなく、ごく限られたユーザーへの先行配信です。
4月19日に関連情報が広がり、最大の注目点として浮上したのが、完成したオフィス文書ファイルをそのまま生成できる機能です。
数式入りExcelやPPTをプロンプトから直接出力
今回の目玉は、生成物をダウンロード可能な実ファイルとして直接作成できる点です。Grok 4.3に業績スライドを指示すれば.pptxファイルが書き出され、財務モデルを指示すれば数式やタブが整った.xlsxファイルが即座に手に入ります。
Dev.toやBuildFastWithAIなどの開発者コミュニティでは、生成されたシートは「そのまま他人に渡せるレベル」と評価されており、ChatGPTの出力をExcel用に手作業で整形していた手間を大幅に削れると話題になっています。
さらに、動画を静止画のサンプリングだけでなくコマ単位で時間軸に沿って解析するネイティブ動画認識機能や、複数文書の横断分析や大規模リポジトリのコードレビュー向けに再調整された長文コンテキスト処理も追加されています。
マスク氏が規模を訂正、1兆パラメータ版は数日後に完了
公開直後、ネット上では「すでに1兆パラメータ規模に達したのではないか」という観測が飛び交いました。
これに対しイーロン・マスク氏はX上で仕様を補足し、今回のベータ版は約5000億(0.5兆)パラメータ構成であると説明しました。本来の1兆(1T)パラメータモデルは現在も学習中で、マスク氏によれば完了まであと5日ほどとのことです。
1兆パラメータ版が完成すれば、今後登場するDeepSeek V4やLlama 4の上位モデルと肩を並べる規模になります。一般向けプランへの展開は5月中旬から下旬が見込まれています。
なお、今回もモデルのオープンソース化は見送られ、価格据え置きのまま月額300ドルの高額プラン限定となっています。
なぜ重要か
月額300ドルという価格設定は、一般的な個人ユーザー向けとは言えません。すでに加入しているパワーユーザーにとってはここ数カ月で最も実用的な進化ですが、一般のビジネスユーザーであれば5月以降に予定される下位プランへの開放を待つのが妥当です。
業界の視点で見れば、xAIはようやく本格的なオフィス生産性ツールの競争に乗り出しました。ChatGPTは1年以上前から文書書き出しやCanvas機能を備え、Anthropicも直前にClaude Designを発表、GoogleはWorkspaceとの連携を深めています。ベンチマークの強さだけでなく「実際の業務成果物を作れるか」という土俵にGrokも上がってきた形です。
完成したファイルを直接吐き出させる方向性は非常に実用的で賢い判断だと評価できます。しかし、企業導入を狙うにはセキュリティ認証や安定したAPI提供、予測しやすい価格体系が欠かせません。このファイル生成機能がAPIとして開放され、外部エージェントに組み込めるようにならない限り、真のビジネスインパクトは限定的なチャット利用にとどまる懸念があります。
情報源 (1)
- krasa.ai(新しいタブで開きます)原文krasa.ai