本文へスキップ
IFAI

AIモデル

World Labs、空間知能向け世界モデル「Atlas」発表

公開 拡散指数 52

World Labsは次世代世界モデル「Atlas」を発表した。テキスト、画像、映像、3Dデータを統合空間コンテキストで処理し、精密なカメラ制御による最長1分の1440p動画生成や3Dガウススプラッティング出力に対応。将来のMarble製品の基盤となる。

World Labs、空間知能向け世界モデル「Atlas」発表
画像:worldlabs.ai

従来の動画生成AIは、思い通りの構図を得るために何度もプロンプトを打ち直す「ガチャ」のような側面がありました。カメラを少し横に振っただけで、背景の家具が消えてしまうことも珍しくありません。

AI研究の第一人者であるフェイフェイ・リー氏が立ち上げたWorld Labsが、この課題に真っ向から挑みました。同社は2026年9月1日、空間知能の獲得を目指す次世代世界モデル「Atlas」を発表しました。

Atlasはテキスト、画像、動画、3Dデータをゼロから事前学習したオムニモデルです。すべての入力を共通の「空間コンテキスト」に配置することで、AIが3D空間の奥行きや構造をネイティブに把握できるように設計されています。

ピクセル精度のカメラ制御で最長1分の1440p動画を生成

Atlas最大の特徴は、精密なカメラコントロールです。「右へパン」といった大雑把なテキスト指示ではなく、厳密なカメラの幾何学的数値を直接入力として受け取ります。

ユーザー自身が空間内のカメラ軌道を描くことで、そのルートに沿ってブレのない映像を生成できます。参考画像をもとに、1440pの高解像度で最長1分間の首尾一貫した長尺動画を出力可能です。

デモでは、正面から撮ったロボットの写真を1枚与えるだけで、裏側の形状や周囲に広がる芝生を常識に基づいて補完しました。さらに、関連性のない2枚の写真を3D空間上に配置すると、その間をつなぐ廊下や出入口を自動生成してスムーズに接続してみせました。

スマホ写真数枚から3Dガウススプラッティングへ

Atlasは動画を作るだけでなく、高精度な3D復元エンジンとしても機能します。従来のように何百枚もの高密度な撮影や専用のLiDARスキャナを必要とせず、わずか数枚の写真からリアルな空間を再構築します。

スタンフォード大学のメイン広場の地上写真数枚から、上空を飛行するドローン視点の映像を破綻なく生成できるほか、出力形式として点群や3Dガウススプラッティング(3D Gaussian Splats)に対応しています。復元したシーンはローカル端末上で高フレームレートかつ高解像度にリアルタイム描画できます。

実験では、市販のスマートフォン3台から5台を三脚に固定して撮影した映像から、映画のようなマトリックス風のバレットタイム効果を作り出しました。ロボット工学の現場向けには、スマホで撮影した24フレームの室内映像から空間全体を復元し、ロボットの車載カメラや深度センサーが見る視界をシミュレーションするReal-to-Simワークフローも実証されています。

アーキテクチャにはマルチモーダル自己回帰拡散Transformerを採用しており、計算リソースの投入に応じて性能がスケールします。Atlasは今後World Labsの提供する製品「Marble」の基盤となる予定で、現在は限定早期アクセスの申請を受け付けています。

なぜ重要か

動画生成の競争が単なる「画質の綺麗さ」に終始しがちな中で、Atlasは「空間としての整合性」という本質的な課題に踏み込みました。

映像クリエイターにとって、カメラワークをピクセル単位で指定できる意義は絶大です。偶然の出力に頼るのではなく、意図した通りの絵コンテを具現化できるため、商業制作のパイプラインに組み込む現実味が格段に増します。

ロボティクスやゲーム開発者にとっても、スマートフォン数台の手持ち撮影から即座に操作可能な3Dガウススプラット空間が手に入るインパクトは小さくありません。高価な測量機器を使わずにシミュレーション用の合成データを大量生産できる道が開けます。

3Dジオメトリと動画生成を別物として扱わず、ひとつの空間モデルとして統合した点は非常に賢明だと評価できます。もちろん、情報が足りない部分はモデルの「想像」で補っているため、ミリ単位の精度が求められる建築測量などには向きません。それでも、空間知能の社会実装に向けた確かな一歩と言えます。

情報源 (2)

  1. [1]
    worldlabs.ai(新しいタブで開きます)原文worldlabs.ai
  2. [2]
    youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com

毎日のAIピックアップ