本文へスキップ
IFAI

業界動向

米Wendy's、PalantirのAIでサプライチェーン刷新 人気1ドル商品の品切れ防ぐ

公開 拡散指数 47

Bloombergによると米Wendy'sがPalantirのAIソフトを導入し、サプライチェーンの需要予測を自動化した。過去の販売実績や輸送コストを分析し、人気プロモ「1ドル Frosty」の急な需要増にも供給網全体で即座に対応できる体制を整える。

米Wendy's、PalantirのAIでサプライチェーン刷新 人気1ドル商品の品切れ防ぐ
画像:bloomberg.com

ファストフードの大型割引キャンペーンで最も避けたいのは、客が殺到しているのに肝心の材料が切れてしまうことです。

マクドナルドなどの巨大チェーンに対抗するため、ウェンディーズ(Wendy's)は独自プロモーションを展開しています。Bloomberg の報道によると、同社はデータ分析大手の Palantir Technologies が提供する AI を導入し、メニューの品切れを未然に防ぐサプライチェーン管理を始めました。今夏に大きな人気を集めた「1 ドルのフロスティ」キャンペーンでも実際に活用されました。

スプレッドシート作業からの脱却

ウェンディーズは以前にもオハイオ州のドライブスルーで注文 AI を実験していましたが、今回は原材料を欠品なく店舗へ届けるという、より基幹的な業務に AI を投入しました。

同社の調達を担う独立系サプライチェーン組織が Palantir のソフトウェアを使用しています。直近と過去の販売実績、輸送コストなどのデータを AI が解析し、どの原材料を優先して発注すべきかを割り出し、最短で届く特定の倉庫を指定して手配することまで可能です。

調達組織を率いる Pete Suerken 氏は Bloomberg に対し、3〜4 年後にこれを導入していなければ明確な劣勢に立たされると語り、業界の働き方を根底から変える技術だと指摘しました。

販売動向のデータがサプライチェーン全体へ即座に共有されるため、サプライヤー側も売れ行きに合わせて生産ペースを柔軟に調整できます。Suerken 氏が「誰もスプレッドシートの入力係になどなりたくない」と語るように、現場スタッフが数字の集計に追われる負担も減ります。

今夏の 1 ドルフロスティ企画では、需要が跳ね上がった際に AI が乳製品サプライヤーへ即座にアラートを出し、不要な過剰在庫を抱えることなく乗り切りました。10 月 31 日の決算説明会で Kirk Tanner CEO は、フロスティの活用が大きな成果をもたらしたと述べています。一方で Quartz によると、AI 活用が将来的な人員削減につながるかという質問に対し、同社からの即答は得られなかったとのことです。

なぜ重要か

AI の活用先が、見栄えのいい店頭パフォーマンスから実利重視のバックヤード管理へと確実にシフトしている動きだと私たちは考えています。

外食産業では調理ロボットや音声注文 AI が話題になりがちですが、1 ドル均一のような低利益率の販促で勝敗を分けるのはサプライチェーンです。原材料の余剰は廃棄コストになり、欠品は機会損失と顧客離れを招きます。末端の売れ行きを上流の乳製品工場へリアルタイムで連動させる仕組みは、価格競争を仕掛ける上で強力な武器になります。

高度な軍事や大企業向けデータ解析で知られる Palantir をアイスクリーム原料の調達に使うのは一見大がかりですが、店舗ごとの属人的な勘を排除するアプローチとしては非常に合理的です。

ただし懸念点もあります。システムへの依存が進む中で不測の物流障害が起きた際の対応力はまだ見極めが必要です。さらに、作業の効率化をアピールする一方で人員削減の可能性について回答を避けた点は、自動化の先にある雇用の見直しを意識させます。

情報源 (2)

  1. [1]
    bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
  2. [2]

毎日のAIピックアップ