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業界動向

Vivodyne、生体AIデータセンターを開設:培養組織で年310万回実験、動物実験の代替へ

公開 拡散指数 43

Vivodyneは培養ヒト組織を用いた自律型ロボットデータセンターを開設した。HIVEラボが肝臓や肺などの生体組織を培養し、AIが実験設計から解析まで自律的に回して年間310万件の試験を行う。動物実験に頼らず、前臨床段階でヒトに対する創薬効果を予測できるのが強みだ。

Vivodyne、生体AIデータセンターを開設:培養組織で年310万回実験、動物実験の代替へ
画像:vivodyne.com

AIの計算資源は桁違いに増えているものの、がんの克服となると途端に壁に突き当たります。ボトルネックは半導体不足ではなく、実験用のマウスです。動物実験で効果を示した新薬候補の約9割が、ヒトの臨床試験でことごとく失敗しているからです。

スタートアップのVivodyneは、動物実験そのものを過去のものにしようとしています。同社は8月12日、世界最大級をうたう生体データセンターをサンフランシスコ近郊のジェネシス・マリーナに開設しました。調達した4000万ドルのシリーズA資金を活用した、広さ2万3000平方フィートの全自動ロボット施設です。

そこにあるのはサーバーラックではなく、自律稼働するロボットアームと生体リアクターの群れでした。

培養組織を工業スケールで回すHIVEラボ

施設の中核を担うのは、自社開発のHIVEロボットラボです。シャーレでの平面培養ではなく、TissueDiskと呼ばれる特殊ディスクを用いて、立体的な生体組織サンプルを一度に数百個単位で同時培養します。

現在対応しているのは、肝臓、肺、腎臓、腸など20種類のヒト組織です。ロボットシステムが投薬、スキャン、活性解析を工業規模で自動実行します。

Vivodyneによると、施設全体の実験キャパシティは年間310万回に達します。かつて製薬会社が何年もかけて集めていた前臨床データを、標準化された自動パイプラインで一気に処理する仕組みです。

AIが実験を自律設計し、生体世界モデルを作る

単なる自動化工場にとどまらないのが、AIによる完全な実験ループです。

HIVEでは、AIが投薬プロトコルを立案し、ロボットが実行して得た組織の反応データを即座に解析します。その結果をもとにAIが次の実験を自律的に設計するサイクルを回し、ヒトの生理機能を予測する「生体世界モデル」の構築を目指しています。

すでに大手製薬企業8社が早期アクセスの利用料を支払っています。規制当局である米FDAも、抗体医薬などの承認要件から動物実験の義務付けを外し、オルガノイドやAIモデルの活用を後押しするロードマップを示しており、追い風が吹いています。

なぜ重要か

製薬業界は長年、動物実験の精度の低さに頭を抱えてきました。マウスとヒトでは代謝経路も免疫反応も大きく異なり、莫大な開発費を投じた新薬が臨床で脱落する主因になっています。Vivodyneのプラットフォームを使えば、数億ドルかかる第I相試験に進む前の段階で、ヒト組織に対する効果を正確に見極めて無駄な候補を早期にふるい落とせます。

生体模倣システム(器官チップ)の分野にはEmulateやMIMETAS、CN Bioといった先行企業がすでに存在します。しかしVivodyneが極めて巧みなのは、高価な実験装置を売るのではなく、生体組織を「AIの学習データ生成拠点」として再定義した点です。生成生物学モデルに不可欠な高品質なヒト由来データを供給するインフラとして位置づけています。

もっとも、体外で培養した3D組織がどれほど精巧であっても、全身の神経伝達や複雑な免疫ネットワーク、ホルモン循環まで完全に再現できるわけではありません。年間310万件という実験規模は圧巻ですが、このデータが実際の臨床成功率をどこまで押し上げられるかは、提携製薬企業の今後の臨床結果を見極める必要があります。

情報源 (1)

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    vivodyne.com(新しいタブで開きます)原文vivodyne.com

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