米超党派議員がCOPIED法案提出:電子透かしの不正削除を違法化へ
米国の超党派上院議員グループが「COPIED法案」を提出した。NISTにコンテンツの出所証明と合成メディア検出の基準策定を義務付け、電子透かしの改ざんや削除を違法とする。クリエイターは無断でAI学習に作品を使われた場合に企業を提訴できるようになる見込みだ。

自分の作品がいつの間にか AI の学習データとして吸い上げられ、抗議する手段もないという状況に、米国の立法府がメスを入れようとしています。
米議会上院の超党派議員グループは、デジタルコンテンツの真正性確認と電子透かしの改ざん防止を義務付ける新法案「COPIED 法案(COPIED Act)」を提出しました。ジャーナリストやアーティストの作品が、本人の同意なしに AI モデルの学習に使われるのを防ぐことが狙いです。
透かしの削除を違法化する仕組み
法案の正式名称は「編集およびディープフェイクメディアからのコンテンツ出所保護・完全性法」です。この法案は、米国商務省標準技術局(NIST)に対し、コンテンツの出所証明や合成メディア検出のための規格とガイドラインを策定するよう指示しています。
さらに、創作物や報道コンテンツを扱う AI ツールに対し、ユーザーが出所情報を添付できるようにすること、そしてその情報の改ざんや削除を禁止することを義務付けます。セキュリティ研究を目的とした一部の例外を除き、出所情報を意図的に削除したり無効化したりする行為は違法とみなされます。
また、出所情報が付与されたコンテンツを、許可なく AI モデルのトレーニングに使用することも禁じられます。
法案の実効性を高めるため、報道機関やアーティスト、新聞社などのコンテンツ所有者には、認証マークを改ざんしたり無断で素材を利用したりした企業を直接提訴する権利が認められます。連邦取引委員会(FTC)や各州の司法長官も取り締まりの権限を持ちます。
この法案を主導しているのは、上院商業委員長を務めるマリア・カントウェル議員、上院 AI ワーキンググループのマーティン・ハインリッチ議員、マーシャ・ブラックバーン議員らです。全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)やアメリカレコード協会(RIAA)、ニュース・メディア・アライアンスなど、多くの業界団体が支持を表明しています。
SAG-AFTRA のダンカン・クラブツリー=アイルランド首席交渉官は、出演者の極めて精巧なデジタル複製を生成できる AI の能力は組合員の経済的基盤に対する直接的な脅威であるとし、透明で説明責任のある供給体制が必要だと訴えました。
なぜ重要か
クリエイターや報道機関にとって、この法案は AI 開発企業による「無断スクレイピング」に対抗するための強力な武器になります。モデルの学習に使われたかどうかを法廷で立証するのは極めて困難ですが、「透かしや出所情報を消去したこと」自体を違法と位置づければ、立証のハードルは劇的に下がります。
一方で AI 企業にとっては、ネット上のあらゆる公開データを無差別に集めてモデルを強化する手法に明確な法的ストップがかけられることを意味します。今後は学習データの調達ルートやライセンスの透明性を担保するためのコストが跳ね上がることになります。
このアプローチは、AI の進化そのものを止めるのではなく、「出所情報の改ざん」という具体的な行為を規制対象に絞った点で極めて現実的だと私たちは考えます。
ただし、技術的な課題は依然として残ります。NIST がどのような標準規格をまとめるにせよ、電子透かしやメタデータは画像の圧縮、トリミング、再エンコードなどで意図せず失われることも少なくありません。技術的な堅牢性が担保されなければ、せっかくの法規制も現場で形骸化する懸念があります。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
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