米国のAI関連法案、2025年は開始66日で781件に急増
調査企業MultiStateの集計によると、2025年に入りわずか66日間で米国のAI関連法案が781件に達し、2024年通年の743件を上回った。連邦レベルでの包括的なAI規制枠組みが停滞する中、各州議会が独自に規制法案の提出を加速させている。

2025年が始まってわずか2か月余り、日数にして66日の時点で、米国の連邦および州議会に提出されたAI関連法案の数が781件に達しました。コンサルティング会社MultiStateの追跡データによると、この数字は2024年全体の提出数である743件をすでに上回っています。
2023年の関連法案提出数は200件足らずでした。それと比較すると、法制化の勢いがここ1〜2年で急激に加速していることが分かります。
各州が独自に進める規制のモザイク
法案の内容は州ごとに多岐にわたっています。
メリーランド州で提出されたH.B. 1331は、人生を左右する重大な決定に関わるハイリスクなAIの開発と利用を規制する内容です。テキサス州では広範な範囲をカバーする責任あるAIガバナンス法案が提案され、マサチューセッツ州のHD 3750は、保険金請求の審査にAIを利用する医療保険会社に対してその開示を義務付けるものとなっています。
このように、リスクの定義や対象となる産業が州ごとに異なるため、米国内の規制環境は急速に細分化しつつあります。
連邦政府の空白を埋める地方議員
法案が乱立する背景には、連邦レベルでの統一的な枠組み作りが進んでいない現状があります。
欧州連合(EU)が包括的な「EU AI法」を成立させたのに対し、米国議会はいまだ全国規模の規制策定で合意に至っていません。
トランプ政権も積極的な規制には慎重な姿勢を見せています。1月下旬には、イデオロギー的な偏向がなく、経済競争力や国家安全保障に貢献するAI開発を推進する大統領令に署名しましたが、議会主導の主要なAI法案を支持する動きは今のところ見せていません。
連邦政府が基準を示さないため、各州の議員が独自にルールを作らざるを得ない状況が生じています。
なぜ重要か
スタートアップや開発者にとって、この事態は深刻な負担になり得ます。全米でサービスを展開しようとする際、州ごとに異なる開示義務やリスク基準に個別対応しなければならず、コンプライアンスにかかる費用が跳ね上がるためです。
大企業であれば法務部門を動員して対応できますが、小規模な開発チームにとっては特定州への展開を諦める理由になりかねません。
私たちは、包括的な連邦法が存在しないまま各州が独自の法案を競い合う現状は、規制の実効性を欠いたまま開発の現場を混乱させるリスクが高いとみています。安全性の確保とイノベーションのバランスをどう取るか、連邦レベルでの早急な方針確定が求められています。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com