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米ユニバーサルが映画エンドロールに警告文:AI学習への無断利用なら提訴へ

公開 拡散指数 41

報道によると、米ユニバーサル・ピクチャーズは『ヒックとドラゴン』実写版などの最新作のエンドロールに、AI学習への利用を禁じる法的な警告文を挿入し始めた。映画の無断複製やデータスクレイピングに対抗し、著作権侵害の訴訟に備える狙いだ。

米ユニバーサルが映画エンドロールに警告文:AI学習への無断利用なら提訴へ
画像:therundown.ai

映画のエンドロールといえば、かつては盗撮や違法アップロードに対する警告が定番でした。しかしユニバーサル・ピクチャーズが今、標的にしているのは映画館の観客ではなく、シリコンバレーの巨大テック企業です。

ユニバーサルは6月公開の『ヒックとドラゴン』を皮切りに、映画のエンドクレジット末尾へ「本作をAIの学習に使用することを禁じる」という新たな法的警告を挿入し始めました。この表示は『ジュラシック・ワールド/リバース』や『バッドガイズ2』にも追加されています。

エンドロールでテック企業に「学習拒否」を宣言

警告文では、作品が米国および各国の法律で保護されており、無断の複製や頒布が民事上の責任や刑事訴追の対象になると明記されています。さらに一部の地域では、2019年に制定されたEUの著作権指令を引用しています。これは権利者が明確に意思表示することで、データマイニングや学術研究目的の利用からオプトアウトできる条項で、テック大手が強く反対してきた経緯があります。

関係者によると、世界中で配給される本編にこの文言を組み込むことで、AI学習用のスクレイピングに対する法的な防御壁をもう一層築く狙いがあります。

映画スタジオが危機感を強めるのも無理はありません。2024年頃には、Midjourneyなどの画像生成ツールに「Thanos Infinity War」と入力するだけで映画のワンシーンと見紛うサノスの画像が出力されたり、『トップガン マーヴェリック』を指定するとコックピットに乗るトム・クルーズそっくりの画像が生成される事態が起きていました。『シュレック』や『レミーのおいしいレストラン』のアニメ調まで正確に模倣できたことが、ディズニーやユニバーサルがMidjourney提訴に踏み切る決定打となりました。

「複製」に焦点を絞った賠償戦略

生成AIをめぐる訴訟では、学習が「フェアユース(公正利用)」に該当するかが争点になります。直近では、作家たちがMetaやAnthropicを訴えた2つの裁判でフェアユースの壁に阻まれ敗訴しました。

しかし、データが無断でダウンロードされた海賊版だった場合、話は別です。AIを学習させるプロセスでは必ず素材の「複製」が発生するため、ユニバーサルの警告も無断複製への責任追及を強調しています。意図的な著作権侵害と認められれば、1作品あたり最大15万ドルの法定損害賠償が請求できるため、テック企業にとっては巨額の金銭的リスクとなります。

一方で、AI技術を取り込む動きも急速に進んでいます。7月30日にはFable Studiosが、簡単な指示文だけでアニメなどのエピソードを生成できるプラットフォーム「Showrunner」について、Amazonから出資を受けたと発表しました。同社はディズニーなどの大手スタジオとライセンス交渉を進めており、2026年にはAI生成による初の劇場映画公開を目指しています。

なぜ重要か

ユニバーサルのこの一手は、極めて実利的な法的布石だと私たちは考えます。

最大のポイントは、テック企業がよく使う「拒絶の意思表示がなかった」「故意ではない」という言い逃れをあらかじめ封じた点です。エンドロールという公の配布物に明示的なオプトアウトを刻み、EU著作権法などの根拠条文まで添えることで、もし自社データが無断使用された場合に「意図的な権利侵害」として1作品あたり最大15万ドルの上限賠償金を狙える土台を整えました。

ただし、ウェブスクレイパーが映画館でエンドロールを見るわけではないため、この警告だけで勝手なクローリングを物理的に阻止できるわけではありません。実態としてはブラックボックスの中で学習が進む懸念は残ります。

注目すべきはハリウッドの二面性です。既存の知的財産を守るために法廷闘争へ突き進む一方で、Showrunnerのようにファンが数単語で二次創作エピソードを作れる新プラットフォームには関心を示し、ライセンス交渉を行っています。対抗して締め出すのか、それとも新しい権利ビジネスとしてテック企業に切り売りするのか、スタジオ側の綱引きが激しさを増しています。

情報源 (1)

  1. [1]
    hollywoodreporter.com(新しいタブで開きます)原文hollywoodreporter.com

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