わずか163MBの音声認識「Bark 3.0」登場、5分の音声を0.5秒で文字起こし
今週、Underdogが音声認識モデル「Bark 3.0」をHugging Faceで公開した。サイズはわずか163MBながら、Apple Silicon上で5分の音声を半秒で処理できる。Whisper Largeを上回る精度を誇り、不要な相槌を自動除去するバージョンも用意されているが、現在は英語のみの対応となる。

Underdogがオープンソースとして公開した「Bark 3.0」は、わずか163MBのファイルサイズで動作する超軽量・高速な音声認識モデルだ。
ダウンロード容量は163MBに抑えられており、M5 Maxチップを搭載したMacBook Pro上なら5分間の音声ファイルをわずか0.5秒で文字起こしできる。実時間の約595倍という圧倒的な処理速度を誇り、精度面でも何倍も巨大な既存モデルを凌駕している。
小さくてもWhisper Largeを打ち負かす精度
Bark 3.0は、NVIDIAのparakeet-tdt-0.6b-v3およびMoondreamのparakeet-ultraという、CC-BY 4.0ライセンスのオープンアーキテクチャをベースに構築されている。
提供されているバリエーションは複数ある。標準のBark 3.0(163MB)のほか、誤認識を抑えたPlus版(180MB)、最高精度のPro版(1.25GB)が揃う。最も大きいPro版であっても、一般的な民生用GPUのVRAMに余裕で収まるサイズ感だ。
英語のOpen ASRリーダーボードにおける7つのテストセット平均で、163MBの標準版は単語誤り率4.94%を記録した。Plus版は4.76%、Pro版は4.29%まで低下する。
比較として、9GBを超えるWhisper large-v3の平均誤り率は6.04%、約2.5GBのNVIDIA Parakeetは4.94%だ。Bark 3.0はWhisperの約57分の1のサイズでありながら、より高い精度を出していることになる。
特に強みを発揮するのが雑多な会議の音声だ。AMIミーティングデータセットにおける単語誤り率は、Whisper large-v3が13.63%、Parakeetが9.42%だったのに対し、Bark 3.0は7.82%にとどまった。
相槌や口ごもりを自動除去するClean版
日常の会話には、「ええと」や「あの」といったフィラー、言い間違い、言葉の重複が頻繁に混ざる。
そこでUnderdogは、180MBの「Bark 3.0 Clean」という専用版も用意した。話者が口ごもったり言い直したりした音声を自動的に整理し、最初から清書された自然な文章として出力してくれる仕組みだ。
ただし、導入にあたって注意すべき制限事項もある。現時点では英語のみの対応となっており、多言語の文字起こしには対応していない。また、単語ごとのタイムスタンプ出力や話者分離機能は未搭載で、以前のバージョンで使えたカスタム単語リスト機能も3.0にはまだ引き継がれていない。
試し方と導入方法
すべてのモデル重みはHugging Face上で公開されており、クレジット表記を行えば商用利用も可能なライセンス形態となっている。ブラウザ上で録音して即座に変換精度を試せる無料デモページが用意されているほか、ローカル環境で動かすためのコードや導入手順もページ下部に記載されている。
なぜ重要か
Bark 3.0は、オンデバイスAIの実用性を大きく引き上げる好例だと評価できる。これまで実用的な文字起こしを行おうとすると、数ギガバイトの重いモデルを動かすか、クラウドAPIに頼らざるを得なかったが、適切な蒸留と設計があれば100MB台の軽量モデルでも通用することが示された。
英語の会議記録や音声入力アプリを開発しているエンジニアにとって、Whisper Largeからの乗り換えを検討する価値は十分にある。端末のバッテリーやメモリ消費を大幅に抑えつつ、待たされないローカル処理環境を構築できるはずだ。
情報源 (3)
- huggingface.co(新しいタブで開きます)原文huggingface.co
- underdog.ai(新しいタブで開きます)報道underdog.ai
- youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com