Topaz Labsが「Precision Update」公開 最大4K対応の新動画AIモデル追加、処理速度は最大5倍に
Topaz Labsは動画高画質化向けの「Precision Update」を公開した。Topaz Videoとクラウド基盤Astraに新世代モデルを追加し、最大4K出力に対応したほか、ローカル処理速度を最大5倍に向上させた。生成AI映像特有の不自然な質感を抑えられるほか、Topaz Photoには偽解像度を自動検出する機能も加わった。

最新の生成AIで動画を作ったことがある人なら、特有の「違和感」に心当たりがあるはずです。一見リアルに見えても、肌の質感がプラスチックのようにテカついていたり、服の繊維がぼやけていたり、背景の文字が崩れていたりします。
映像の画質改善ツールを手がけるTopaz Labsが、その課題の解消に乗り出しました。同社は3月31日、大型アップデート「Precision Update」を公開し、Topaz Videoおよびクラウド基盤「Astra」向けに新世代のAIモデル群を追加しました。ローカルとクラウドの双方で最大4K出力に対応し、処理速度は旧世代モデルと比べて最大5倍に向上しています。
生成AIの違和感を抑える4つの新モデル
今回のアップデートでは、用途ごとに明確に役割分担された複数のモデルが投入されました。
生成AI動画を扱うクリエイターにとって最大の注目株が「Starlight Precise 2.5」です。最新の動画生成AIで出力された映像を最大4Kまで拡大する際、人工的なプラスチック感を低減するように設計されています。顔の陰影や布地の質感、文字の輪郭を自然に整えるほか、近現代のアーカイブ映像の修復にも対応します。ただし負荷が高いため、現時点ではクラウドのAstra限定での提供となります。
一方で、映像データを手元のPCで完結させたいプロ向けには、2つのローカル拡散モデルが用意されました。ひとつは「Starlight Fast 2」で、従来のStarlight Miniと比べて3〜5倍の高速化を実現しています。ただし要求スペックは非常に高く、NVIDIA製GPUで最低16GB、推奨32GBのVRAMが必要です。
もうひとつの「Starlight HQ」は、従来のStarlight MiniやSharpに存在した「入力は1080pまで」という制限を撤廃したモデルです。より高解像度の素材を直接入力し、元映像の意図を崩さずに鮮鋭感とディテールのバランスを整えられます。こちらはNVIDIA製GPUで最低10GB、推奨12GBのVRAMで動作します。
アニメーションやモーショングラフィックス向けには「Gaia 2」が追加されました。フレームごとの処理構造を見直すことでディテールの滲みを防ぎ、ジャギーを抑えながら2倍のアップスケールが可能です。こちらはWindowsだけでなくMacでもローカル動作に対応しています。
このほか、Topaz Photoには拡大処理だけで実質的な解像度を伴っていない偽画像を自動で見抜く「True Resolution Detection」が搭載されたほか、Topaz Video本体にも映像の垂直・水平反転機能や、必要なモデルだけを選んで導入できる新インストーラーが追加されました。
なぜ重要か
Topaz Labsの今回の動きが巧みなのは、動画生成そのものの競争に飛び込むのではなく、AI動画が抱える特有の粗を整える「仕上げ役」としての立ち位置を固めた点にあります。
動画生成AIは急速に進化していますが、商用の4K制作でそのまま使える品質に達しているものはまだ多くありません。Starlight Precise 2.5のように生成AI特有のテクスチャ破綻に特化したアップスケーラーは、現場の映像制作者にとって実用的な解決策になり得ます。
一方で、ローカル処理におけるハードウェアのハードルは依然として高すぎると言わざるを得ません。最速のStarlight Fast 2を快適に動かすために推奨32GBものVRAMを要求する設計は、一般的なクリエイターの環境を大きく超えており、結果として多くのユーザーを従量課金のクラウド利用へと誘導することになりそうです。
とはいえ、従来のシャープ化フィルタから、ディテールを文脈に応じて補完する拡散モデルへの移行を着実に進めている点は高く評価できます。オープンソースのアップスケーラーが乱立するなかでも、商業映像のワークフローに直結するツールとしての優位性を保ち続けるはずです。
情報源 (1)
- topazlabs.com(新しいタブで開きます)原文topazlabs.com