Tinder、認証にAI動画セルフィーを導入:なりすましやBotを排除へ
Tinderは「写真認証」を刷新し、従来の静止画ポーズ撮影からAIを活用した動画セルフィー認証に切り替えると発表しました。3D顔マッピングで実在性と写真の一致を照合し、AI生成の偽画像を防止します。既存の認証バッジ保持者も再認証が必要です。

マッチングアプリでやたらと整ったプロフィール写真を見かけたとき、最近は真っ先に「これ、画像生成AIで作った別人じゃないか」と疑ってしまう人も多いのではないでしょうか。
なりすましや詐欺ボットの作成が簡単になるなか、Tinderが対策に乗り出しました。これまで静止画で行っていた本人確認プロセスを刷新し、AIとセルフィー動画を使った新システムを世界中で順次導入します。
静止画のポーズ指定は終了、動画で「生身」を証明
従来のTinderでは、画面に指示された特定のポーズを取って写真を自撮りすれば、認証済みの青いチェックマークを獲得できました。
しかし、静止画の偽造が容易になった今、そのやり方では太刀打ちできません。新しい仕組みでは、ユーザーはプロンプトに従って自撮り動画を撮影し、実際に生きている人間であることを示すライブネス判定を受ける必要があります。
この動画から抽出した顔の3次元形状データを、AIがプロフィール写真と照合して本人かどうかを判定します。Tinderによると、動画セルフィーの基盤技術は社外のパートナー企業に委託し、認証の処理自体は自社のインフラ内で行っているとのことです。委託先の企業名は明かされていません。
すでに青いチェックマークを持っている既存ユーザーも例外ではありません。最新の認証手順へのアップグレードを促され、動画を撮り直さなければバッジを失うことになります。これにより、何年も前の写真で認証を受けたまま放置されていたアカウントの形骸化も防ぐ狙いです。
認証済み同士だけで話せる制限機能も
Tinderは今後数か月をかけて、認証バッジを持つユーザー向けの機能も強化していく予定です。
メッセージ設定で、同じく認証を済ませた会員からしかメッセージを受け取らないように制限できるようになります。さらに、マッチした相手に対してメッセージ送信前に写真認証を完了するよう要求する機能も用意されます。
有料プランのTinder Gold会員は、自分に「いいね」を送ってきた相手の一覧を認証済みユーザーだけに絞り込めるようになります。Tinderによれば、18歳から25歳のアカウントでは認証バッジを取得することでマッチング率が平均10パーセント向上しているといいます。
なぜ重要か
私たちは、この施策をマッチングアプリの信頼性を取り戻すための非常に現実的な防衛策だと考えています。AIによって本物そっくりの写真がいくらでも作れる時代、プラットフォームにとって最も守るべき資産は「画面の向こうに本物の人間がいる」という安心感だからです。
普段からTinderを使っている人にとって、今回の動画認証は受けておく価値が十分にあります。マッチング率が10パーセント上がるという実利だけでなく、相手がメッセージ制限をかけていれば認証なしではやり取りすら始められなくなるからです。
安全対策を単なる義務にするのではなく、マッチングの優位性やメッセージの拒否権といったインセンティブと結びつけた点は賢いやり方に見えます。長年放置された「写真詐欺」を一掃できるのも利点でしょう。
一方で懸念されるのは生体情報の取り扱いです。顔の3次元データを取得するうえ、その技術を名前の明かされていない外部業者に依存している点に不安を覚える人も少なくないはずです。
マッチした相手に「まず認証して」と要求する機能も、実際のコミュニケーションとしてはかなりハードルが高く映ります。それでもボットだらけの環境を放置するよりは、多少の手間や摩擦を受け入れるしかない段階に来ていると言えます。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com