TikTok、対話型AI「Shopping Assistant」や即時決済など新機能を発表
TikTokはAIコマース機能群「Agentic Commerce」を発表した。対話型AIエージェントによる商品検索やアプリ内でのワンクリック決済に対応するほか、ClaudeやPerplexityから広告運用を行えるMCPコネクタの提供も拡大する。

TikTokのタイムラインを眺めていて気になった服があっても、外部サイトへ飛ばされ、ログインを求められているうちに熱が冷めてしまった経験は誰にでもあるはずです。
Advertising Week New York 2026において、TikTokはAIを活用した新しい広告およびコマースソリューションを一挙に発表しました。「欲しい」と思った瞬間から決済までの摩擦を、AIですべて取り払うのが今回の狙いです。
PF Globalの調査によると、TikTokが生み出した米国のGDP効果は810億ドルに達し、5400万人の米国人が動画視聴をきっかけに商品を購入しています。またKantarの調査でも、マーケターの84%がTikTokに広告を出稿しており、2027年に広告予算を増やしたいプラットフォームの第1位に選ばれました。TikTokはこの勢いを背景に、さらなる取引拡大へ舵を切っています。
フィード上で即決済、チャット形式の専属AIガイドも
今回の目玉となるのが、Agentic Commerceと呼ばれるコマース機能群です。
中でも注目を集めているのがBuy Directです。おすすめフィード上で画面を離れることなく、ワンクリックで直接商品を購入できる仕組みで、ShopifyやSalesforce、Shoplazza、Stripeといった決済・コマース基盤と連携して実現しています。
さらに、買い物中の相談相手となるShopping Assistantも導入されました。文脈やユーザーの好みを記憶し、サイズや在庫、配送日時の確認から実際の決済まで、すべて1つのチャットの中で完結させることができます。
物販だけでなく見込み顧客を獲得したい企業向けには、Agentic Leadsが用意されました。TikTokのダイレクトメッセージや自社サイトの問い合わせフォームにAIエージェントを常駐させ、会話を通じて確度の高いリードを絞り込みます。
アプリの外へ、40万の外部アプリへ広告配信
もう一つの大きな動きが、米国の広告主向けに提供が始まったTikTok Ad Networkです。
これまでの広告配信はTikTokアプリ内が中心でしたが、このネットワークを使うことで、世界中の約40万におよぶプレミアムアプリへキャンペーンを拡張できるようになりました。管理はすべて既存のTikTok Ads Managerから行えます。
開発者や運用チーム向けには、Model Context Protocolへの対応を拡大しています。すでに利用企業は200%以上増加しており、ClaudeやPerplexity、Replit、Snowflake、Kimi、Manusなどの主要AIツールと接続可能になりました。外部のAIエージェントを使って、広告の企画からクリエイティブの入稿、実績分析までを自動化できます。
検索広告の自動化ツールSmart+や、生成AI素材とクリエイター動画を一括管理できるCreative Selection、アフィリエイト報酬やクーポン割引といった経費を差し引いて実質ROIを最適化するGMV Maxのアップデートも同時に発表されました。
なぜ重要か
出店者やマーケターにとって、フィードから決済までの離脱要因が激減するメリットは極めて具体的です。動画を見て気になった商品をチャット形式のAIが案内し、そのままアプリ内で買えるようになれば、コンバージョン率は大きく改善するはずです。GMV Maxが手数料やクーポンなどの隠れコストを考慮して入札を最適化するようになった点も、現場の利益管理に直結します。
業界全体から見れば、TikTokはMetaやGoogleに対する包囲網を一段と強めたと言えます。自社アプリ内の購買完結でAmazonに対抗しつつ、40万の外部アプリ網でGoogleのディスプレイ広告網のシェアを奪いにいっています。自社管理画面への囲い込みを諦め、MCPを通じてClaudeなどの外部AIから直接広告を運用できるようにした判断も実用的です。
ただし、課題も残されていると私たちは考えます。購入ハードルが極端に下がることで衝動買いが増えれば、返品率の高騰がショップ側のオペレーションを圧迫しかねません。また、TikTokアプリ外の40万もの外部アプリへ配信を広げた際、従来の強力なアルゴリズムと同等の広告効果やブランドの安全性をどこまで維持できるかは未知数です。
情報源 (1)
- newsroom.tiktok.com(新しいタブで開きます)原文newsroom.tiktok.com