テンセントがAIへ注力、ゲーム事業の苦境を受け馬化騰CEOが表明
テンセントの馬化騰 CEO は年次イベントで、利益の約 3 分の 1 を占める主力ゲーム事業の苦戦を認め、AI へのシフトを強化する方針を示した。同社は自社開発の LLM「混元」を武器に、先行する競合のトップ集団にようやく追いついたと説明している。

中国で最も時価総額の高いテック企業であるTencentが、ついにAIへの本格シフトを宣言しました。
1月29日に開かれた同社の社内年次イベントで、CEOのポニー・マー(馬化騰)氏は主力事業であるゲーム部門の苦境を赤裸々に吐露しました。競合他社が次々と新製品を繰り出すなか、Tencentは方向性を見失い、何も達成できていないように感じたと自虐的に語ったのです。
同社の利益の約3分の1を稼ぎ出す最大の稼ぎ頭が失速するなか、同社はシリコンバレーの巨大テック企業と同様、AI開発へとリソースを舵を切る方針を固めました。
激減したゲーム市場と競合の台頭
Tencentはこれまで「PUBG: Battlegrounds」や「王者栄耀」といった世界的ヒット作で巨額の利益を上げてきました。
しかし業界全体の風向きは厳しさを増しています。The Verdictの調査レポートによると、中国のゲーム市場における取引規模は2018年の169億ドルから2020年には103億ドルへ縮小し、2023年にはわずか1億5800万ドルにまで激減しました。
市場自体の冷え込みに加え、国内ライバルによるヒット連発が、Tencentのゲーム収益を大きく落ち込ませる要因となっています。
混元を軸に先行集団へ追いつく戦略
窮地に立たされた同社が掲げる対抗策が人工知能です。ポニー・マー氏は、自社がAI領域のリーダーではないことを認めた上で、ライバルに大きく離されているわけではないと述べました。
同氏は「ようやく第1グループのペースについていけるようになった」と語り、現実的な距離感を強調しています。
TencentのAI戦略の中核を担うのは、OpenAIのChatGPT対抗として2023年9月に法人向けに投入された大規模言語モデル「混元(Hunyuan)」です。現在はBaiduの「文心一言」やAlibabaの「通義千問」と並ぶ国内主要モデルの地位を占めています。
なぜ重要か
Tencentの今回のAIシフトは、攻めの戦略というよりも成長の行き詰まりが生んだ必然の防衛策に見えます。
法人顧客や開発者にとっては、中国屈指のメッセージング・エコシステムを持つTencentが本気でAIに注力することで、実用的なビジネス活用やクラウド連携の選択肢が広がるメリットがあります。
業界全体で見れば、Baidu、Alibaba、Tencentによる国内の生成AI覇権争いはさらに激化することになります。
ただし課題も山積みです。グローバルではOpenAIが圧倒的な存在感を誇り、Nvidiaがハードウェア市場を握るなか、米国の制裁やGPU調達の制約が重くのしかかります。ゲームの収益が細るなかで、巨額の投資が必要なAI開発をどこまで粘り強く続けられるかは未知数です。
情報源 (1)
- cointelegraph.com(新しいタブで開きます)原文cointelegraph.com