Tencent、AIが記憶を共有する「Hy-Memory 2.0」をオープンソース化
Tencentは異なるAI Agent間で記憶を共有できる「Hy-Memory 2.0」をオープンソース公開した。専用30Bモデルと連携アプリ「MemHub」を提供し、CursorやCodex間で作業文脈を引き継げる。ツールを切り替えるたびに前提を説明し直す手間が省ける。
Hy-Memory 2.0 は、Tencent がオープンソース公開した AI 向けの統合記憶システムです。記憶フレームワーク本体、専用の 30B 記憶モデル、そして連携アプリ「MemHub」の 3 層構成で提供されます。
Cursor、Codex、WorkBuddy、Hermes といった複数のツールを使い分ける際、ツールを切り替えるたびに前提条件や過去のコード修正理由を説明し直す手間を解消します。
できることと仕組み
付属のデスクトップアプリ MemHub は、最大 10 種類の AI ツールとの連携に対応しています。各ツールの過去の対話履歴をインポートしてローカルで記憶として蓄積し、新しく発生した会話もリアルタイムで同期します。Cursor で指示した設計ルールを、そのまま Codex 側でも前提知識として引き継ぐことが可能です。
内部構造は 3 つの記憶モジュールに分かれています。Chat Memory は対話履歴から事実を抽出し、重複や矛盾を整理します。Working Memory は作業タスクの進捗と有効だった手法を分離して管理し、条件が一致した時だけ過去の解決手順を再利用します。Coding Memory はコードの Diff や変更履歴の文脈を記録し、なぜそのコード修正が行われたかを後続の Agent が追跡できるようにします。
専用 30B モデルとベンチマーク
フレームワークに加え、長期記憶の整理と更新に特化したモデル「Hy-Memory-30B-A3B」も公開されました。Hy-Memory だけでなく、Mem0 や MemOS など他の記憶システムにも接続できます。
LoCoMo や LongMemEval などを含む 6 つの評価指標において、4 つの記憶システムを横断した平均スコアは 55.49 を記録しました。これは Opus5 の 54.62 や DeepSeek V4.1 Flash の 53.64 を上回るスコアです。また、MemoryArena における旅行計画や買い物タスクのベンチマークでも平均 55.31% を獲得し、次点の EverOS を 10.2 ポイント引き離しています。
MemHub のコードは GitHub で、30B モデルの重みは Hugging Face から入手できます。
なぜ重要か
複数の AI ツールを併用するエンジニアにとって、コンテキストの分断は日常的なストレスでした。会話ログをそのままプロンプトに詰め込むのではなく、タスク手順とコードの変更履歴を分けて構造化するアプローチは非常に合理的です。
特定の開発環境に依存せず、個人の作業記憶をローカルの共通資産にできる点は魅力的です。実際の現場でどれほど正確に必要な文脈をリアルタイムに引き出せるかが鍵となりますが、マルチエージェント環境を組む開発者なら試す価値が十分にあります。
情報源 (1)
- memory.hunyuan.tencent.com(新しいタブで開きます)原文memory.hunyuan.tencent.com