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業界動向

著名AI研究者が新興企業「Mechanize」設立:全労働の完全自動化を掲げ物議

公開 拡散指数 40

AI研究機関Epochの創設者タメイ・ベシログル氏が、人間の仕事を完全に自動化することを目指すスタートアップ「Mechanize」を立ち上げた。まずはホワイトカラー職を対象とし、ジェフ・ディーン氏らが出資する一方で、労働者を完全に置き換える構想に対し業界内から批判が殺到している。

著名AI研究者が新興企業「Mechanize」設立:全労働の完全自動化を掲げ物議
画像:techcrunch.com

シリコンバレーの新興企業が掲げる壮大なミッションの中には、本気なのか風刺なのか判断に迷うものがあります。

4月19日の報道によると、著名なAI研究機関Epochの創設者であるタメイ・ベシログル氏が、新会社「Mechanize」を設立しました。掲げた目標は「すべての仕事の完全な自動化」、そして「経済の完全な自動化」です。

要するに、世界中の人間の労働者をAIエージェントに置き換えることを真っ向から目指しています。

60兆ドルの給与市場を丸ごと狙う

突拍子もない構想に見えますが、発起人がベシログル氏となると話は別です。彼が率いるEpochは、AIの計算資源の推移や経済的影響を中立的に追跡し、業界で高い信頼を得てきた研究機関だからです。

ベシログル氏の試算では、米国労働者の年間給与総額は約18兆ドル、全世界では60兆ドルを超えます。Mechanizeはこの巨大な労働報酬の総額そのものを市場規模と見なしています。

同氏は取材に対し、ロボットが必要な肉体労働ではなく、まずはホワイトカラーのデスクワークを重点的に代替していくと説明しました。仕事の自動化を実現するための学習データ、評価環境、デジタルワークスペースを提供する計画です。

出資者にはGoogleのジェフ・ディーン氏をはじめ、ナット・フリードマン氏、ダニエル・グロス氏、パトリック・コリソン氏など、シリコンバレーの有力者が名を連ねています。

巻き起こる反発と中立性への疑念

この発表はX上で瞬く間に炎上しました。研究者のアンソニー・アギーレ氏は、大企業にとって労働の自動化は莫大な利益になるが、大半の人間にとっては巨大な損失になると懸念を表明しました。

さらに深刻なのは、研究機関Epochの中立性が損なわれる点です。Epochはこれまで各社のフロンティアモデルを客観的に評価する立場とされてきました。しかし、トップが労働者排除を掲げる営利ベンチャーを立ち上げたことで、その客観性には強い疑問符が付きました。Epochのディレクター自身も、誕生日に広報危機が降ってきたとXで皮肉を漏らす事態になっています。

ベシログル氏は、全自動化は爆発的な経済成長をもたらし人類を豊かにすると反論します。職を失った人間がどうやって暮らすのかという問いには、株式配当や不動産収入、政府の社会保障給付で生活できると主張しています。

なぜ重要か

Mechanizeの動きは、近年のテック業界が隠してきた本音を露骨にさらけ出した点で極めて重要だと私たちは考えます。

大手IT企業はこれまで、AIを人間の仕事を助ける「副操縦士」として友好的に宣伝してきました。しかしMechanizeは、AIビジネスの真の狙いが「人件費をソフトウェアの利用料にすげ替えること」だと率直に認めています。

ホワイトカラーのビジネスパーソンにとって、これは無視できない警告です。ロボットを伴う現場仕事と違い、画面の中で完結する業務は、確実に資本と開発者の標的になっています。

ただし、この壮大な野望と技術の現状には依然として大きな隔たりがあります。ベシログル氏自身が認めている通り、現在のAIエージェントは記憶の保持が難しく、指示通りに自律完結できず、長期的なタスクでは簡単に脱線します。

基本的な業務プロセスの信頼性すら確立できていない段階で、世界全体の労働力を置き換えると喧伝するのは、過剰な資本集めのポーズに見えます。実際にすべての仕事を奪われる心配をする前に、まずはエージェントが実用に耐えうるかを冷静に見極める必要があります。

情報源 (1)

  1. [1]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com

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