Take-Two、AI搭載の『GTA 5』Modを著作権侵害申し立てで削除
Take-Twoが『GTA 5』向け生成AI Mod「Sentient Streets」に対しDMCA削除要請を行い、Nexus ModsやYouTubeから関連データが排除された。Inworld AIとElevenLabsを使ってNPCと自由に音声会話できる仕組みだったが、開発者によると事前の連絡はなく突然削除されたという。

ロスサントスの街角で適当な通行人に話しかけると、こちらの言葉を理解し、自然な声で台本にない会話を返してくる。そんな次世代の体験を目指した「グランド・セフト・オートV」(GTA 5)の生成AI Mod「Sentient Streets」が、公開直後に姿を消すことになりました。
パブリッシャーであるTake-Twoが著作権侵害の申し立てを行い、プロジェクトを強制終了させたためです。
Eurogamerなどの報道によると、作者のBloc氏はYouTubeやMod配布サイトのNexus Modsからコンテンツが削除されたことを明かしました。さらにIGNによれば、Modの導入手順を掲載していたホスティングサービスNetlifyのアカウントまで停止されたといいます。
事前連絡なしの強硬措置
作者のBloc氏はYouTube上の声明で、Take-Two側から事前に何の説明や問い合わせもなく、突然動画が削除されたと主張しています。企業側が完全に対話を拒絶する姿勢をとったことに対し、困惑を隠していません。法的なトラブルを避けるため、Bloc氏は他のプラットフォームからもModを手動で削除せざるを得なくなりました。
このModは、最近5000万ドルの資金調達を実施したInworldのキャラクターエンジンと、ElevenLabsの音声ライブラリを組み合わせて作られていました。30種類以上のAI生成音声を使ってNPCとの会話をリアルタイムに生成する仕組みです。
Bloc氏は、GTA本編の音声データは一切使用しておらず、規約違反になるようなファイルも配布していないと説明しています。YouTubeやゲームのポリシーには違反していないという認識でした。
興味深いのはそのタイミングです。Take-Two傘下のRockstar Gamesは、これに先立つ同じ週、有名なロールプレイMod制作チーム「Cfx.re」を買収したばかりでした。コミュニティModに対して軟化姿勢を見せた直後に、生成AI Modには容赦ない鉄槌を下した形です。
なぜ重要か
既存の人気ゲームに生成AIを組み込む試みに対して、大手パブリッシャーが極めて強い警戒感を抱いていることが明確になりました。技術的にはInworldやElevenLabsのような外部ツールを使えば個人でも高度なNPC対話を実現できるようになりましたが、権利元の許諾がない限り、どれだけ規約を守っていると主張しても公開を維持するのは困難です。
業界全体にとって、この問題は「AIが何を喋るかわからない」という制御不能リスクに直結しています。ブランド価値が数千億円に及ぶ看板IPの中で、AIが差別的な発言や問題のあるセリフを出力した場合、その責任の所在が曖昧なままでは大手が容認できるはずもありません。
Take-Twoの事前対話なしに即座に権利行使を行うやり方はコミュニティの反発を招きやすいものの、IP防衛の観点からは極めて合理的です。一方でCfx.reのように実績のあるMod制作陣を公式に取り込んでいる動きを見れば、大手が求めているのは勝手な技術実験ではなく、自社の厳密な管理下に置かれたイノベーションだけであると考えられます。
情報源 (1)
- gamesindustry.biz(新しいタブで開きます)原文gamesindustry.biz