T-Mobile、アプリ不要の通話リアルタイム翻訳を今春テストへ
T-Mobileはネットワーク側で動作する音声通話のリアルタイム翻訳「Live Translation」を発表した。VoLTEに対応していればガラケーでもアプリ不要で使え、通話中に「87」をダイヤルするだけで50言語以上を相互翻訳できる。通話内容は保存されず、今春のベータテスト向けに登録受付を開始した。

異なる言語を話す相手と電話をする場合、これまでは専用アプリを介すか、最新のAI搭載スマートフォンを用意するのが一般的でした。
米通信大手T-Mobileが打ち出したのは、そうした手間をすべて通信キャリア側で肩代わりするアプローチです。同社は通常の音声通話中に50以上の言語をリアルタイムで翻訳できるAI機能「Live Translation」のベータテストを今春開始すると発表しました。対象ユーザーの登録受付はすでに始まっています。
アプリも新端末も不要なネットワーク型AI
Live Translationの最大の特徴は、機能がネットワーク側で動作する点です。特定のアプリをインストールする必要はなく、発信元がT-Mobileの契約者であれば、着信側がどんな端末やキャリアを使っていても通話翻訳が機能します。
この機能は5G Advancedネットワーク上で提供されますが、利用条件は最新の5G端末に限定されません。同社CTOのJohn Saw氏がThe Vergeに語ったところによると、VoLTE接続が確保されていれば4G LTE環境でも動作し、VoNRやVoWiFiにも対応します。
ベータ期間中は、通話中に「87」をダイヤルするだけで時間制限なく、追加料金なしで利用できます。今春後半には「Hey T-Mobile」と話しかける音声起動にも対応する予定です。
プライバシー面についてSaw氏は、翻訳処理は通話中にリアルタイムで行われるだけで、音声データやテキストのログを保存することは一切ないと説明しています。一般提供時の有料化の有無については明らかにされていません。
なぜ重要か
端末メーカー各社がAI通話翻訳を最新ハイエンド機の目玉機能として囲い込もうとするなか、通信キャリアがインフラ層で同じ体験を実装してきた点は非常に合理的です。
ユーザーにとっての価値は、圧倒的な手軽さにあります。海外の取引先や母国語が異なる家族にかける際、相手に事前設定やアプリ導入をお願いする必要がありません。対応端末の縛りもないため、日常的に外国語での電話連絡が発生する人にとっては、ベータ版を試す価値が十分にあります。
通信業界全体で見れば、ハードウェア依存のAI機能に対する強力な対抗軸になり得ます。ネットワーク側で高精度な翻訳が完結するなら、ユーザーが高額なAIスマホを買い替える動機は薄れるからです。
懸念されるのは通話遅延と一般公開後の料金設定です。クラウド経由の音声処理で会話のテンポが損なわれれば使い勝手は落ちますし、ベータ終了後に高額な追加オプションとして課金されるようであれば、普及へのハードルとなるはずです。
情報源 (1)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com