Suno、音声朗読と音楽を同時生成する「Speech」ベータ版を公開
Sunoは、テキストから音声朗読とオリジナルの音楽をまとめて1本のトラックとして生成するモデル「Speech」のベータ版を全ユーザーに公開した。文章を入力し、声質や音楽スタイルを指定するだけで完成する。音声合成と音楽制作を1つのプロンプトに統合した。
文章を音声コンテンツに仕上げようとすると、想像以上に手間がかかります。音声合成ツールでナレーションを作り、別のサイトで規約に触れないBGMを探し、動画編集ソフトに並べて音量を調整する、という作業を繰り返すのが一般的でした。
AI楽曲生成で知られるSunoが、この工程を丸ごと引き受ける新機能を公開しました。10月1日、同社はナレーションとオリジナルBGMを一体で生成する新機能「Speech」のパブリックベータ版を、Webとモバイルアプリ向けに一般公開しました。
声とBGMをひとつの音源として同時生成
Speechの最大の特徴は、声と背景音楽を別々に作って合わせるのではなく、ひとつのまとまりのあるトラックとして同時に生成する点です。
使い方はシンプルで、詩やアイデア、自分で書いた原稿を入力し、声のトーンとBGMの雰囲気を指定するだけです。もし声だけの音源が欲しい場合は、トグルスイッチでBGMをオフにすることも可能です。
操作画面には二つのモードが用意されています。Simpleモードは「船員を鼓舞する海賊の船長」といった情景をテキストで指示するタイプで、Advancedモードでは台本をそのまま流し込み、声の性別や話し方のスタイル、生成ごとの揺らぎの幅を細かく設定できます。最大生成時間は約8分間です。
完成度はまだ完璧ではありません。最高製品責任者のJack Brody氏は、ベータ版の段階ではイギリス英語のアクセントがオーストラリア訛りにずれてしまったり、不自然に大げさな間が空いたりすることがあると明かしています。
先行テスト期間中には、友人からの何気ないチャットの返信を壮大なドラマ風に朗読させたり、日常のボイスメモに大げさなオーケストラBGMをつけたり、子供向けの寝かしつけ絵本や瞑想ガイドを作ったりといった使われ方が目立ったといいます。
なぜ重要か
テキスト読み上げの領域には、早くから取り組むDeepMindやAdobeのほか、2023年に登場してリアルな音声クローンで市場を握ったElevenLabsのような強力な先人がすでに存在します。その中でSunoが音声合成に参入するにあたり、音楽生成の強みを組み合わせて「BGM付きナレーション」として打ち出したのは、非常に賢い差別化だと考えられます。
クリエイターや個人ユーザーにとって、朗読音声に感情に合ったBGMを重ねて自然な音量バランスに仕上げる作業は、地味に時間を奪われるハードルでした。それをプロンプトひとつで完結できる価値は大きく、ポッドキャストの導入部や短尺動画のナレーション、個人のリラクゼーション音源作りなどで今すぐ試す価値があります。
一方で、最大8分という制限やアクセントの不安定さを考えると、長編オーディオブック制作や企業の厳密な商用ナレーションにそのまま置き換えるのはまだ困難です。現時点ではあくまでカジュアルな創作やエンタメ用途にとどまる印象を受けます。
また、大手レコード会社から著作権侵害で訴訟を起こされているSunoにとって、純粋な音楽生成以外の表現領域へプラットフォームを広げることは、法的な逆風の中でサービスの裾野を広げ、単一事業への依存を減らすリスクヘッジの一環という側面もありそうです。
情報源 (2)
- suno.com(新しいタブで開きます)原文suno.com
- theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com