StepFunが「Step 5 Preview」発表:600BのMoE採用、エージェント特化モデル
今週、中国のAI企業StepFun(階躍星辰)が最新のマルチモーダルエージェントモデル「Step 5 Preview」を発表した。総パラメータ数6000億のMoE構成で稼働時は270億のみがアクティブ化され、100万トークンの長文脈に対応。DeepSWEテストなどコーディングや知識作業で高水準の性能を示す。
大規模言語モデルのベンチマーク競争が一段落した今、開発者が本当に求めているのは単純です。複雑な自律エージェントの処理を最後まで破綻させず、かつAPI費用を跳ね上げない実用的なモデルです。
今週、中国の主要AI企業であるStepFun(階躍星辰)が、まさにその課題に挑むフラッグシップのマルチモーダルエージェントモデル「Step 5 Preview」を発表しました。すでに同社のオープンプラットフォームを通じて利用可能です。
6000億パラメータを抱え、稼働は270億のみ
Step 5 Previewの根底にあるのは、合理化された混合エキスパート(MoE)設計です。
全体の総パラメータ数は6000億(600B)に達しますが、推論時に実際にアクティブ化されるのはわずか270億(27B)パラメータにとどまります。
この構成により、巨大モデルならではの深い知識と推論能力を維持しながら、実行負荷を大幅に抑えることに成功しています。
あわせて100万トークンの長大なコンテキストウィンドウを標準装備。巨大なコードベースや分厚い分析レポートを一括で読み込ませて作業させることができます。
GLM 5.3に肉薄しつつコストは3分の1
ベンチマークでも、エージェントの実務性能にフォーカスした強さが際立っています。
ソフトウェア開発エージェントを評価するDeepSWEや知識作業タスクにおいて、GLM 5.3やKimi K3といったオープン系フロンティアモデルと同等以上のスコアをマークしました。
評価機関Artificial Analysisのリーダーボード上でも、Step 5はGLM 5.3からわずか1ポイント差の位置につけています。
際立っているのはその経済性です。推論コストはGLM 5.3と比べておよそ3分の1で、主要な商用クローズドモデルと比べても圧倒的な安さを実現しています。
さらに高度な視覚理解を備えているため、画像の入力から3Dモデルのレンダリングコードを書き起こすようなVibe Codingや、複雑な財務リサーチにも対応します。
現在、OpenAI互換のAPIやブラウザ上で試せるStudioが提供されており、正式リリースは10月15日を予定しています。
なぜ重要か
エージェント開発に取り組むエンジニアにとって、このモデルは極めて実用的な選択肢になります。ツール呼び出しや自己修正を繰り返すエージェントではトークン消費が跳ね上がりがちですが、トップ水準のコーディング性能を従来の3分の1のコストで回せるインパクトは絶大です。
業界全体にとっても、競争の焦点が単なるパラメータ自慢から「推論効率と価格競争力」へと完全にシフトしたことを示しています。巨大なモデルを賢く間引き、実用水準の低価格に落とし込むアプローチは他社にも追随を迫るでしょう。
誇大広告に頼らず、開発者の財布に直結する合理性を突いてきたStepFunの戦略は非常に見事だと感じます。ただし現在はまだPreview段階です。10月15日の正式提供以降、現実の過酷なタスクで安定したエージェント稼働を維持できるかが真の勝負どころとなります。
情報源 (2)
- platform.stepfun.ai(新しいタブで開きます)原文platform.stepfun.ai
- youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com