SpaceXが軌道上AI衛星「STARMIND」発表:翼幅75m、2027年末にも配備へ
SpaceXが宇宙空間でAI計算を処理する衛星構想「STARMIND」を発表しました。翼幅75mの衛星が太陽同期軌道で24時間太陽光発電を行い、宇宙の真空へ直接排热することで地上の電力や冷却の制約を回避します。データはStarlinkレーザー経由で送信され、早ければ2027年末の量産配備を目指します。

地上のAIデータセンターは今、電力網の容量不足や冷却水の消費、地元住民の反対運動といった深刻な制約に直面しています。
その解決策として、イーロン・マスク率いるSpaceXは計算基盤そのものを宇宙へ打ち上げる構想を打ち出しました。
同社が発表した「STARMIND」は、宇宙空間でAI計算を処理するための軌道上データセンター衛星計画です。
展開時の翼幅は75メートル
「AI1」と呼ばれるこの衛星は、従来の通信衛星を大きく超える巨大な機体です。
展開時の高さは30m、太陽光パネルを含む翼幅は75mに達します。
衛星単体で最大250kW、平均175kWの計算用電力を供給できる設計です。
配置先には太陽同期軌道が選ばれました。大気や天候の影響を受けず、24時間途切れることなく太陽光発電を行えます。
この巨大構造物の軌道投入には、完全再使用を目指す大型宇宙船Starshipが不可欠となります。
真空への放射冷却とレーザー通信
地上施設で莫大な電力を食う冷却設備も、宇宙空間なら劇的に簡略化できます。
熱を宇宙の真空へ直接放射することで、冷却塔や送風ファンを不要にし、冷却にかかるエネルギーを大幅に削減できるとしています。
搭載チップについて同社は特定ベンダーに依存しないモジュール設計を掲げており、報道ではNVIDIAの次世代Rubin GPUやVera CPUの搭載が報じられているほか、Teslaと連携した半導体生産計画にも言及されています。
衛星同士は高速光レーザーで相互接続され、計算結果はStarlinkのレーザー通信網を通じて地上へ低遅延で送信されます。
量産に向けては米テキサス州バストロップに巨大工場「Gigasat Factory」を建設中で、早ければ2027年末にも数千機規模の配備を開始する計画です。
なぜ重要か
電力網の接続待ちや環境規制に頭を抱えるAI業界にとって、宇宙への進出は魅力的なブレークスルーに見えます。
地上特有の土地利用規制や水資源問題、地域住民の反発を丸ごと回避し、純粋な技術と資本の課題へと置き換えられるからです。
また、Starshipの輸送力、Starlinkの通信インフラ、Teslaの量産・チップ技術を有機的に統合する試みとしても、マスク氏の強みを活かした戦略といえます。
しかし、私たちはこの構想の実現には極めて高いハードルが存在すると考えています。
宇宙線による半導体の誤作動や劣化は避けられず、軌道上のノードは地上のように手作業で故障部品を交換することができません。
衛星間レーザーで接続するとはいえ、地上データセンターのような密結合かつ低遅延な分散学習環境を宇宙で再現するのも容易ではないでしょう。
2027年末というスケジュールはかなり野心的ですが、AIの計算需要が地球のインフラ限界を押し広げ始めていることだけは確かです。
情報源 (1)
- spacex.com(新しいタブで開きます)原文spacex.com