楽譜版 Shazam:Songscription が AI 音声自動採譜ツールを公開
先週、スタートアップの Songscription が音声や YouTube リンクから数分で楽譜を起こす AI ツールを発表した。ピアノ採譜の精度が最も高く、楽譜が読めない人向けにピアノロール表示も備える。今後はギタースコアやバンド編成への対応も予定している。

耳コピで楽譜を起こす作業は、ミュージシャンにとって時間のかかる地道な作業の代表格です。
先週ローンチされたスタートアップ「Songscription」は、楽曲の音源から数分で楽譜を自動生成するAIツールを公開しました。音楽認識アプリになぞらえ、「楽譜版Shazam」とも呼ばれています。
音源やYouTubeリンクから数分で譜面化
Songscriptionはフリーミアムモデルを採用しており、プロの演奏家から趣味のアマチュアまでを対象としています。
音声を直接アップロードするだけでなく、YouTubeのリンクを貼り付けるだけでも自動で採譜が可能です。五線譜が読めないユーザー向けには、バーチャル鍵盤上をノートが流れるピアノロール表示も用意されています。
現時点で最も精度が高いのはピアノですが、複数の楽器に対応しており、今後はギターのTAB譜やバンド全体のパート別編曲にも対応する計画です。
技術の基盤には、共同創業者のティム・ベイヤーらが発表した研究論文が使われています。学習データには公有の楽譜や協力ミュージシャンの演奏に加え、大量の合成データが使われました。楽譜を音声化し、あえてノイズやリバーブを足して現実の録音環境を再現することでモデルを鍛えています。
設立からわずか7カ月の同社は、すでにReach Capitalからプレシード資金を調達し、スタンフォード大学のStartXアクセラレーターにも採択されています。
著作権のグレーゾーンと法的な懸念
手軽に採譜できる一方で、著作権の扱いは避けて通れない問題です。
音源をアップロードする際、権利を所持していることを確認するチェックボックスが表示されますが、市販曲のURLを入力してチェックを入れれば、誰でも無料で楽譜を取得できてしまいます。
CEOのアンドリュー・カーリンズ氏は、個人が耳で聴いて楽譜に書き起こし、家で演奏する行為は法的に認められてきたと指摘します。AIによる支援が境界線を越えるかはグレーゾーンだと認めつつも、同ツールは生成AIではなく編集可能な補助ソフトであると位置づけています。
なぜ重要か
ミュージシャンやDTM制作者にとって、ひらめきを録音した音源から即座に楽譜の下書きが手に入る価値は非常に大きいです。一音ずつ打ち込む手間が省ければ、創作や練習に集中できる時間が増えます。
また、予算が限られた学校の吹奏楽部などで、生徒の演奏レベルや編成に合わせて楽曲をアレンジするような用途にも可能性を感じます。
しかし、私たちはこのサービスが普及する上で2つの大きな課題を抱えていると考えます。
1つ目は著作権問題です。楽譜の出版権を管理する団体は権利侵害に厳しく、ユーザーの自己申告に頼る免責設計は、規模が拡大した際に法的リスクを招く可能性があります。
2つ目は精度の問題です。ピアノのソロなら実用レベルに達していても、音数が多いポップスや残響の強い音源ではミスタッチやリズムのズレが頻発します。修正に元の耳コピ以上の時間がかかるようでは本末転倒です。現時点ではソロ演奏のメモ書き起こしツールとして試すのが現実的でしょう。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com