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研究

ロチェスター大学が太陽光海水淡水化の新技術を発表:濃縮塩水を出さず、リチウムも回収

公開 拡散指数 36

ロチェスター大学の研究チームがレーザー加工した黒色金属を用いる太陽熱海水淡水化技術を発表した。「コーヒーリング効果」を利用して塩分を固形物として分離するため、海洋を汚染する濃縮塩水を出さずに淡水を作り出せる。さらに、回収した塩からバッテリー用リチウムの抽出も可能になる。

画像:rochester.edu

海水を淡水化すること自体は珍しくありませんが、その代償は常に大きな問題でした。従来の淡水化プラントは膨大な電力を消費するだけでなく、高濃度の有害な濃縮塩水を海に垂れ流し、海洋生態系に深刻な打撃を与え続けています。

ロチェスター大学の研究チームは、この課題を根本から覆すアプローチを開発しました。濃縮塩水の廃液を一切出さず、それどころか固形物として残った塩からバッテリー用のリチウムまで回収してしまいます。

ロチェスター大学光学研究所のチュンレイ・グオ教授率いるチームは、太陽熱を利用した新しい海水淡水化技術を学術誌『Light: Science & Applications』で発表しました。化学薬品による前処理を一切必要としないのが特徴です。

「コーヒーリング効果」で目詰まりを完全回避

システムの心臓部は、フェムト秒レーザーで微細加工された黒色金属パネルです。この表面は太陽光をほぼ100%吸収して熱に変えるだけでなく、極めて高い親水性を持ち、海水を薄い膜のように広げて素早く吸い上げます。

研究室で行われる従来の実験では、純水に塩化ナトリウムを溶かした模擬海水が使われてきました。しかし、太平洋や大西洋、インド洋から採取した本物の海水にはカルシウムやマグネシウムが多く含まれ、水分が蒸発すると硬いスケールとなって表面にこびりつき、すぐに目詰まりを起こしてしまいます。

研究チームはこの問題を、こぼしたコーヒーが乾くときに縁へ粉が移動する「コーヒーリング効果」を応用して解決しました。

レーザー加工された中央の「活性領域」で海水を蒸発させつつ、残った塩分や鉱物を毛細管現象で外側の未処理な「受動領域」へと自然に押し出します。これにより表面が自浄され、目詰まりを起こさずに連続稼働させることが可能になりました。

廃液ゼロ、塩からリチウムを抽出

この方法の大きな強みは、海へ廃棄すべき濃縮塩水を出さず、塩分をほぼ100%固体の状態で回収できる点にあります。

さらにチームは『Journal of Materials Chemistry A』に掲載された関連研究で、黒色金属の溝にチタン酸水素ナノ粒子を組み込み、塩分の中からリチウムだけを選別回収する手法を実証しました。

アメリカのグレートソルト湖の水サンプルを用いた実験では、淡水化後に残った塩分から約50%のリチウムを回収することに成功しています。

この研究は全米科学財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、世界大学ネットワークの支援を受けて実施されました。

なぜ重要か

世界では推計22億人が安全に管理された飲料水を利用できていません。従来の逆浸透膜法などは莫大なインフラ費用と電力を必要とし、貧しい沿海地域にとって導入のハードルが高すぎました。

私たちは、この研究の最も優れた点を「環境汚染の原因だった廃棄物を高付加価値な資源へと転換したこと」だと見ています。電気自動車の普及でリチウム需要が急増するなか、陸上での採掘は深刻な環境破壊を伴います。海水からの水資源確保と重要鉱物の回収を太陽光だけで同時にこなせるなら、淡水化プロジェクトの採算性は劇的に向上します。

ただし、今すぐ実用化できるわけではありません。今回示されたのは小型デバイスによる原理実証にとどまります。フェムト秒レーザーを用いた金属表面加工はコストが高く、大面積に広げるには製造技術のブレークスルーが必要です。さらに、実際の過酷な海洋環境下で微細構造がどれだけの期間劣化せずに耐えられるかも、今後の重要な見極めポイントになります。

情報源 (1)

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    rochester.edu(新しいタブで開きます)原文rochester.edu

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