Slack、ユーザーデータをAI学習にデフォルト利用で批判殺到 拒否は要メール
Slackがユーザーデータをグローバルモデルの学習にデフォルトで活用し、拒否するにはメール連絡が必要である仕様が発覚し炎上している。同社は絵文字推薦などに限られ「Slack AI」のLLM学習には利用していないと弁明したが、不透明な規約への不満は収まっていない。
SlackがユーザーのチャットデータをAIや機械学習モデルの訓練にデフォルトで利用していることが発覚し、開発者や企業ユーザーの間で批判が殺到しています。
さらに利用者の怒りを買っているのは、このデータ収集を拒否したい場合、管理画面で設定をオフにするのではなく、Slack宛てに電子メールを送ってオプトアウトを申請しなければならない点です。
掲示板から一気に拡散したオプトアウト規定
発端は技術系掲示板Hacker Newsに投稿された1本のリンクでした。投稿主が余計なコメントを付けずにSlackのプライバシー原則ページを共有したところ、デフォルトで学習対象になっている事実を知ったユーザーたちの間で瞬く間に議論が沸騰しました。
インターネットアーカイブの記録によると、この規約は少なくともSeptember 2023から適用されていた模様です。しかし、多くのワークスペース管理者はその存在にまったく気づいていませんでした。
常日頃から顧客データの管理権をアピールしてきたサービスが、裏でひっそりとオプトインを前提とし、拒否手続きをメール送信という面倒な手段に限定していたことが強い反発を招いています。
「グローバルモデル」と有料機能「Slack AI」の混同
批判に対し、Slackの広報担当者は釈明を行いました。同社によると、顧客データが使われているのは検索結果やチャンネル推薦、絵文字の推薦といったプラットフォーム共通の機械学習モデル(グローバルモデル)に限られるとのことです。
これらのモデルは顧客データを記憶したり再現したりしない設計になっており、オプトアウトした組織でも機能自体は引き続き利用できると説明しています。
また、会話の要約などを行う有料アドオン「Slack AI」については、顧客データを使って大規模言語モデルを訓練することはないと明言しました。モデルはSlackが管理するAWSインフラ上で稼働しており、外部のモデル提供元にデータが送信されることもないとしています。
しかし、公開されていたポリシーにはそうした区別が一切明記されていませんでした。エンジニアのGergely Orosz氏がThreads上で疑問を呈したところ、SlackのエンジニアであるAaron Maurer氏は、規約がSlack AIの登場前に書かれた古い内容のままであったことを認め、早急に改訂する必要があると述べています。
なぜ重要か
Slack上で機密情報やソースコード、顧客とのやり取りを日常的に扱っている企業にとって、これは見過ごせないセキュリティおよびコンプライアンス上の懸念事項です。意図しないデータ利用を防ぎたい管理者は、規約の改定を待つだけでなく、現時点でオプトアウト用のメールを送信するかどうかの判断を迫られます。
業界全体にとっても、生成AI機能を急ピッチで組み込むSaaS各社に対するユーザーの視線がいかに厳しくなっているかを物語る出来事です。利便性と引き換えに社内データを吸い上げられることへの警戒感は、かつてないほど高まっています。
今回のSlackの対応は率直に言って稚拙だったと考えられます。機械学習時代に作られた古い規約を放置したままAI展開を急ぎ、拒否窓口をメール対応という不親切な仕様のままにしていたことは、長年築いてきたエンタープライズツールとしての信頼を損なう失策と言わざるを得ません。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com