SingularityNETとASI連合、マインクラフト内で自律学習するAI「AIRIS」を公開
SingularityNETとASI Allianceは『マインクラフト』内で自律学習するAIプロトタイプ「AIRIS」を発表した。事前に決められたルールに依存せず、ゲーム内での経験からリアルタイムに回避行動などの新たな規則を自ら生成して適応する仕組みだ。

ゲーム内の NPC は通常、開発者が事前に書き込んだルール通りにしか動きません。溶岩を避けるのも、壁を迂回するのも、あらかじめ決められたスクリプトがあるからです。
しかし、事前の指示を一切与えられず、自分でゲーム世界を探索しながら生きるためのルールを自作する AI が登場しました。
SingularityNET と ASI Alliance は、人気サンドボックスゲーム「Minecraft」内で自律学習するプロト AGI(汎用人工知能の原型)「AIRIS」を公開しました。
AIRIS は「Autonomous Intelligent Reinforcement Inferred Symbolism」の略称です。最大の特徴は、固定された行動ルールを持たず、ゲーム内での経験や遭遇した刺激をもとに、独自のルールセットをリアルタイムで生成・更新していく点にあります。
ルールブックなしでサバイバルする AI
未知の障害物や地形に直面したとき、AIRIS はナビゲーションや回避の戦略をその場で組み立て直します。
開発者である SingularityNET の Berick Cook 氏によると、AIRIS は「Vereya Mod」という仕組みを介してプレイヤーキャラクターを操作しています。この Mod はゲームの入出力データのみを AIRIS との間でやり取りし、ユーザーデータは一切保存しない設計になっています。
ASI Alliance の広報担当者は、Minecraft を検証の場に選んだ理由について、複雑で制約のない 3D 環境であると同時に、強化学習の学術的なベンチマークとして広く使われているため、既存のアルゴリズムと性能を直接比較しやすいからだと説明しています。
SingularityNET の CEO である Ben Goertzel 氏はポッドキャストで、ChatGPT のような大規模言語モデルは汎用的なタスクをこなせるものの、訓練データの枠組みを超えることができないため真の AGI とは呼べないと指摘しました。教えられた知識の外側へ自力で跳躍できる能力こそが、人間と同様の AGI の本質だという主張です。
なぜ重要か
現実世界でロボットを動かして試行錯誤させるのはコストも故障リスクも高すぎますが、Minecraft のようなデジタルサンドボックスなら無限に失敗を重ねられます。身体性を持つ AI や自動化システムの開発者にとって、ルールを外から与えずに AI 自身が環境から法則性を導き出すアプローチは、非常に興味深い実験です。
私たちは、力まかせのデータ学習だけに頼らず、推論を通じて内的なシンボルやルールを紡ぎ出す試みは理にかなっていると考えます。もしこれが機能すれば、倉庫の自律搬送ロボットや未知の現場で動くドローンの障害物回避など、現場対応力の向上に応用できる可能性があるからです。
ただし、整然としたブロックで構成されたゲーム空間と、ノイズだらけの現実世界との間には依然として大きな隔たりがあります。ゲーム内でルールを自作できたとしても、それをそのまま物理空間のロボティクスに応用できるかは別問題です。また、Goertzel 氏が掲げる分散型 AI の構想が、巨大テック企業の莫大な集中型計算資源に対抗できる実用的なスピードを出せるかも、慎重に見極める必要があります。
情報源 (1)
- cointelegraph.com(新しいタブで開きます)原文cointelegraph.com